【ツイステ】監督生の体液は、魔力を増強させる性質があるらしい。【短編集】 (ページ27)

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"おにいちゃん"に、ご用心。ページ27

【トレ監】

｢ここが、2人の部屋になるよ。｣

｢｢…………｣｣

びっくりするほど広い部屋。
トランプを基調とした意匠の可愛らしい家具。
清掃が行き届き、数多の設備が充実しているその寮は、自分達の慣れ親しんだ寮のそれとは天と地ほどの差である。

……今日からここで寝泊まりできるのか。

荷物を抱えた私とグリムは、2人揃ってあんぐりと口を開けてそれらを見回していた。

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遡ること数日前。
私とグリムは、オンボロ寮の雨漏りが酷すぎることを理由に学園長の元へ直談判しにきていた。

無論、オンボロ寮には、昔からチラホラ雨漏りがある。
これまで何度も学園長に相談してきたが、｢味がある｣｢歴史を感じる｣という言葉を盾にして全く取り合ってくれなかったのだ。
そんな中、ついには寝室にまで雨漏りが見られるようになった。ベッドの上に雨水が滴るようになってからは、2人とも満足に寝れていない。
さすがにこれは我慢ならないと学園長室に直接殴り込みに行けば、やっとその重い腰を上げてくれたのである。

寮の修復にかかる時間は最短でも１ヶ月程度。魔法を使えばあっという間に終わりそうなものだが、色んな権利の関係でそうはいかないらしい。…大人の事情と言うやつだ。寮の修復が終わるまでの間、私達は別の寮で寝泊まりさせて貰うことになった。2人分の部屋を用意できる寮を募ったところ、快く私達を引き受けてくれたのがハーツラビュル寮の皆さんだったのだ。

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｢さて…仮入寮届けの文書にもあった通り、君達2人はうちの寮生と見なし、基本的にうちの規則に従ってもらうことになる。部屋にあるものは自由に使っていいし、自由に過ごしてくれて構わないけれど、起床や就寝の時間は決まっているからね。メリハリをつけて生活してもらうよ。
その他にも細かい規則はあるのだけれど……今回は目を瞑ることにしよう。とにかく、時間は守ること。パーティや寮会議に遅刻したら、贔屓せずに容赦なく罰を与えるから覚悟しておくんだよ。それから…｣

そう言いながら、リドル先輩はふと時計を見上げる。

｢…いけない、もうこんな時間だったのか。
大事な会議があるから、ボクはこれで失礼するよ。
何か分からない事や、困ったことがあれば、寮のものに遠慮なく聞くんだよ。分かったね？｣

｢……はいっ｣

こくこくと頷く私達を一瞥した後、リドル先輩は部屋を出ていった。

…かくして、私のハーツラビュル寮生活が幕を開けたのである。