【ツイステ】監督生の体液は、魔力を増強させる性質があるらしい。【短編集】 (ページ23)

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"｢…使用方法は簡単だ。好きな相手を思い浮かべて、その中身を飲むだけさ。

飲み終わってから1時間の間は、安静にするんだよ。恋心とはいえ、心の一部を消す訳だからね。精神が不安定になりやすいのさ。

あ、そうそう。当然だけど、相手への想いが強ければ強いほど、無くなった恋心の分だけ、心に大きな穴が空く。もし心配なら、余計なことを考えないように、睡眠薬と併用すると良い。｣"

ミステリーショップを出た後、私はオンボロ寮に戻った。サムさんの助言に従って、睡眠薬も購入した私は、早速寝室に入り魔法薬を手に取った。

コルクの栓を抜き、大好きなジェイド先輩を思い浮かべる。

"｢……Aさん｣"

｢……っ｣

案の定、ズキンと痛んだ胸を強く抑えながら、私は飲み口に唇を当てた。

やっと、この想いを無くせる…
私の胸を痛ませる、ジェイド先輩にとって迷惑でしかないこの想いが、やっと。

小瓶を傾けると、冷たい液体が口の中に流れ込む。少し酸味の強い、清涼感のある味だった。全て飲み終わったあとは、心做しか頭が冴えスッキリしたような気分になった。

……そして、じわじわとだが、心の奥底を"虚無"が飲み込んでいく感覚がした。

これが、サムさんの言っていた"穴"のことだろう。

"相手への想いが強ければ強いほど、穴は大きくなる……"

なるほど、ここまで急速に心が空っぽになったように感じるのは、私がそれだけ彼のことを思っていたことの裏返しだったんだ。

私は、直ぐに、手元にあった睡眠薬に手を伸ばし、服用した。ベッドの上に横たわり、その上に布団をかけると、次第に瞼が重くなってきた。

ふと、仰向けで寝る私の頬にツゥ…と温い水が伝って行った。
それは次第に量を増やし、とめどなく量の目から溢れ出した。

｢あれ……、やっと、楽に、なれるのに……

何で私、涙が止まらないんだろうな…｣