2 ページ19
彼を好きになったのは、いつからだったろうか。
初めは、"あのリーチ兄弟"の大人しい方とか、実はヤバい方とか言われてるのを聞いていたので、身構えていた。実際に会ってみれば、確かに口調は丁寧で礼儀正しい人だと思った。しかし、ことあるごとに「小エビちゃん」と呼んで私を追いかけ回すもう1人の片割れの姿が脳裏を過り、彼も実は同じような人なのではないかという思いが拭えなかったのだ。
そんなある日。魔法史の授業の時の事だった。
私の隣の席に誰かが座った。
「お隣、失礼しますね。」
チャリ、と特徴的な耳飾りを揺らしてこちらを伺うように顔を傾げたその人物に、私は息が止まりそうになった。
さらりとターコイズブルーの髪が流れる。左右で色の違う瞳が私を捉えると、ゆっくりと細める。
「Aさんでしたか。お久しぶりですね。」
「お、おひさし、ぶりです……」
教室のステンドグラスに照らされたジェイド先輩が、私は綺麗だと思った。
彼も、その片割れの兄弟も、整った顔立ちをしている。
だから綺麗なのは当たり前だ。
でも私はその時、不覚にも彼に目を奪われてしまった。
「…今日は、グリムさんと一緒では無いんですね?」
「……は、はい!
いつも一緒にいる訳ではありませんので……」
そう言われて、何の気なしにジェイド先輩の向こう側の席を見れば、彼の片割れの姿もそこには無かった。
「ジェイド先輩も…フロイド先輩とは一緒じゃないんですね…?」
「……ふふっ…えぇ、そうですよ。
"いつも一緒にいる訳ではありませんので"。」
クス、と笑ったジェイド先輩は、少しいたずらっぽい顔で、私の言葉を真似てそう言った。
思い返せばこの日、私は初めてジェイド先輩と2人きりで話したのだった。
それから彼とは、色んなことを話した。
趣味とか、休日は何をしてるとか、アズール先輩やフロイド先輩の裏話なんかも、沢山してくれた。好きな物の話になると、いつもより言葉数が増え、心做しか笑顔が増えるのが印象的だった。
彼のことを知っていく度に、最初に抱いていた彼への印象が私のなかで塗り替えられていった。
とても、素敵な人だと思うようになったのだ。
そして、その日の別れ際に。
「…………おや……」
ジェイド先輩が私の顔を覗き込んできた。
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
- 健康運: ★★★★★
- 全体運: ★★★☆☆
ラッキーカラー
あずきいろ
70人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:わん | 作成日時:2023年12月12日 18時