【ツイステ】監督生の体液は、魔力を増強させる性質があるらしい。【短編集】 (ページ16)

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皿洗いを終えたあと、エースと順番にシャワーに入り、また談話室に戻ってきた。
後で皆で枕投げをしようと約束していたが…既に何人かが布団の上に横たわり夢の中だった。
残ったメンバーで枕投げ…なんてする訳にもいかず、今日はこのまま就寝ということになった。

皆が寝ていることを確認し、部屋の電気を落としたところで、後ろに立っていたエースが突然私の手首を掴んだ。

「…っ、何、エース…」

振り返れば、エースは私のことをじっと見下ろしていた。
薄暗い部屋の中では、彼がどんな顔をしているか分からなかった。

「…ちょっと話がしたいんだけど、いい？」

そう言って、少し強めに手首を掴んでくるエースから、嫌とは言わせない雰囲気を感じた。

「……いいよ。ただ、皆を起こしちゃうといけないから…別の場所で聞くね。」

談話室を出て、私はその隣の部屋に入った。
空き部屋はゴーストさん達が使っているから入れないし、廊下で立ち話をするのも変なので、寝室にエースを招き入れることにした。

「それで…話って……」

部屋の電気をつけようと、後ろを振り返り、絶句した。
スタスタと迷いのない足音が聞こえた後、鼻先が触れ合うほど近くに、エースが歩み寄ってきていたからだ。

「…っ、」

1歩、また1歩と後ろに下がっていくうちに、とうとう背中に壁が触れた。私は咄嗟に距離を詰めてくる体を押し返そうと、両手を前に突き出す。するとエースはそれを片手で器用に絡め取り、頭の上に縫い付けた。

「……っこれは、何の冗談？」

「…へぇ、これが冗談に見えんだ？」

ほの暗い部屋の中、窓から射し込む月明かりが僅かにエースの顔を照らす。
エースは壁に追いやられた私を軽蔑するように薄ら笑いを浮かべていた。
じわりと嫌な汗が背中を伝う。

「夜中に寄ってきた男を、あろうことか寝室に連れ込んどいて何の冗談って…悪いけど、それは俺の台詞。

カフェで俺と話した事、もう忘れたの？」

｢……忘れて、なんか…｣

｢…じゃあ、なに？
…もしかして、あんなあからさまなことされても、まーだ俺の事信頼してるわけ？｣

エースの息遣いがすぐそばで聞こえる。
怒気の含んだ声色に、私は思わずキュッと目を瞑る。

「…だ、だって、2人とも、私の大事な親友だから。」

震える声でそう答えると、エースは苛立ち、呆れ果てたように長いため息をついた。

｢……笑わせんな。
そんな幻想、俺が全部塗り潰してやる。」