【ツイステ】監督生の体液は、魔力を増強させる性質があるらしい。【短編集】 (ページ15)

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背筋が凍ってしまいそうなほど冷たい目をして私達を見下ろしていたが、すぐに見慣れた笑顔がそこに浮かぶ。

「…グリムが皿割っちゃったんだけど。」

彼はそう言うと、顎をしゃくって、テーブルの方を指した。皿を、割った。理解するのに数秒かかり、やがて、えッ!?!?と我ながら大きな声を上げる。エースに促されて、グリムの方を見れば、粉砕された陶器の前でジャックに襟首を掴まれ、お説教を受けているのが見えた。

「ぐ…グリム…!!それ、学園長から貸して貰ったやつなんだけど!!」

「ふなぁっ!?そ、そういうのは先に言うんだゾ〜!!」

先程まで緊張で火照っていた身体がさぁっと熱が引いていくのを感じた。
私は重い足取りでグリムの元へと歩いていった。

……残されたエースとデュースは、2人で話をしているようだった。

割れた皿の片付けを終えた私達は、ついにピザを全て完食し、その後はカードゲームに興じた。全員参加のババ抜きでは、最後まで残ったエースと私が最下位扱いとなり、罰ゲームとして皿洗いをすることになった。
ゲームを楽しんだメンバー達は、順番にシャワーを浴び、談話室に戻ってくる。寝巻き替わりに体操着を纏い、談話室に並べて敷いた布団の上に座って駄弁っているのを、私達はシンクから静かに眺めていた。

「…」

「…」

気まずいくらいの沈黙が流れ、なにか話題がないかと模索していたところ、体操着姿になったデュースが、シャワーから帰って来たのが見えた。濡れた黒髪から覗く頬が上気し、ほんのり赤く染まっている。

"『……僕は、

僕は、君のことが_______』"

突然、先程の出来事が脳内にフラッシュバックする。
火傷しそうなほど熱い掌と、僅かに紅潮した頬…真剣な表情には、彼の中で燻る熱と、切ない思いが見え隠れしていた。

私は自他ともに認める鈍感女だが、あれだけわかりやすく感情を表にされたら、嫌でも気付く。

「…っ」

きっと、あの言葉の先は______。

トン、とエースの肩が私に触れ、ふと我に返る。

「…………水、出しっぱ。」

「……っ…そ、そうだね、教えてくれてありがと……」

…あの時。

あの時、私達の会話をおそらく聞いていたであろうエース。
突然、何を言い出すかと思えば、それだけだった。
妙に落ち着き払ったその様子に、私は酷い胸騒ぎと嫌な予感がしていた。

…そして、後に気づく。
"嵐の前の静けさ"とは、まさにこの事を言うのだと。