【あほの坂田】酸素に甘噛み【うらたぬき】

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しかし、部員が集まらないとうだうだしていても、部員が集まるどころか大会にだって参加することは難しくなる。

ある程度ビラを配ったところで一時的に部員集めは中止して、トレーニングをすることにした。


まず初めに私はうらたくんの分析から始めた。某バスケ漫画よろしくマネージャーの仕事をしようと思ったから。

彼の身体能力は目を見張るものだった。

脚力、体力、瞬発力…なにをとっても完璧な運動神経で、これなら優勝も夢じゃないと浮かれるほどだった。

取り敢えず、来月に迫っている県大会に向けてメニューを組むことにした。

マネージャー業も案外体力勝負なのだと知ったし、うらたくんがどれだけ努力家なのかも知れた。

新しく学べることがとても多かった。



そしてなんだかんだあって、今に至る。

私たちの懸命な抗議により、部活動(まあ同好会レベルなんだけど)として成り立った。

うらたくんは優勝とまではいかないものの、優秀な成績をつくってきている。

高校一年生にしてはまずまずの出だしだと思う。


今年度は残すところ、春季大会のみとなった。


…


「来年…ぁ、もう今年か。今年は部員増えるかなあ」

「…いーや増えねぇと困るだろ。こんだけ頑張ってきたんだ。無理にでもいれる」

「無理強いはだめだってばー」


今にも雪が降りだしそうな夜空を見上げ、新しく入ってくる後輩たちに思いを馳せた。

うらたくんに目をつけられたら最後、だなあ。


「経験者が来てくれれば万々歳なんだけどね」

「…確かに。それが一番の望みだな」


どうか、新しく入ってくる子の中に泳ぐのが上手な子…ううん、泳ぐのが好きな子が入ってきますように。

微動だにしないお星さまを見つめて、そうねがった。

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