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「お願いしまーす！お願いしまーすっ」
――あ。
―――あの子、確か同じクラスの浦田わたるくんだ。
私が彼をちゃんと認識したのはあの日だった。
校門前には、少ない紙束を片手に持ちながら下校する人々に声をかけてそれを手渡している彼の姿があった。
「…1枚ちょーだい。何してるの？」
「あ、あー――お前確か…A、AAか。同じクラスの」
「うん、よく覚えてたね、うらたくん」
彼が渡してくれた紙を見ると、そこには水泳部員募集中の文字。
この学校水泳部なんてあったっけ。
「俺、水泳部を作りたいんだ。この学校、プールすら存在しないだろ。だから難しいとは思うんだけど。先生に訊いたら、部員が集まれば良いって」
「なるほど、近所の市営プールに行ったらいいしね。…でもなんで、水泳部のないこの学校にわざわざ入ったの？周りに水泳部がある高校なんていくらでもあるじゃない」
「……親が、親がある程度の高校に行かないと駄目だって言ったんだ。両親どっちも教師で、俺も教師になれってさ。だからそもそも部活動なんて賛成してない。だから敢えて水泳部のない高校に進学させたんだと思う。中学の担任と勝手に決められたから」
さっきまでの表情はどこへ行ったのか、水泳部のチラシを見る彼の目には悲哀の色が漂っていた。
「なあ、そんなことより！水泳部、興味ないか？俺、Aはマネージャー向いてると思うんだ。行動もテキパキしてるし」
「ま、マネージャー…」
彼の先程の悲しそうな表情といい、今の輝いた表情を見るとなんだか断れないような気がした。
しかも、今のところ部活動には所属していない。
入らなければと思っていた矢先の出来事だった。
「…、うん、いいよ。やる。マネージャー」
「えっ、マジで！っしゃあ、部員ゲット！」
彼は満足そうに目を輝かせて笑った。
まだ部活動は始まってなかったけど、彼のあの芯から嬉しそうな笑顔を見ただけで、私は話を受けて良かったと心から思った。
しかし、問題はここからだった。
部員が全く集まらなかったのである。
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こむぎぺんぎんサブ(プロフ) - ゆめさん» ゆめさんこんばんは。お読みいただいていること、心から嬉しく思います。応援もありがとうございます。励みになります。スローペースではありますが、これからもよろしくお願いいたします。 (2020年4月4日 22時) (
レス) id: e093b22b0d (このIDを非表示/違反報告)
ゆめ(プロフ) - こむぎぺんぎんさん、こんばんは。うらさか作品の虜になってからというもの、大好きで何度も読み返していたので不謹慎かもしれませんが更新がとても嬉しいです。新作も全部楽しみにしてます！頑張ってください！ (2020年4月4日 22時) (レス) id: 8d18ba62e8 (このIDを非表示/違反報告)
さく - 更新止まってます…！更新楽しみに待ってますので戻ってきてください！私的には…浦田君と結ばれてほしい…！ (2019年5月19日 23時) (レス) id: 1b1d47c664 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こむぎぺんぎん x他1人 | 作成日時：2019年1月1日 23時
