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スオウはハヤテのしかめ顔を気にせず明るく笑いかけ、からかうような口調で言った。
「久しぶり民間人さん。女の子二人連れで来るなんてなかなかやるな。さてはテイトやチャックと同類か」
「誰だよそいつら。それよりAとはどういう…」
「同じ空を飛んだ仲、かな。いやあ、あの時は実に気持ち良かった」
何か含みのある言い方で答るとにやりと口の端を上げる。それが癇に障ったハヤテは苛立ち、眉間にしわを寄せてスオウを睨む。するとAが慌てて説明した。
「この人はアル・シャハルでヴァールが起きた時に私を助けてくれた人ですよ。ほら、船の中で話したでしょう…」
輸送船でアル・シャハルからラグナまでの移動中、ハヤテになぜあの戦場にいたのか聞かれたので事情を説明したのだ。Δ小隊のパイロットに助けられた事も話したのだが、名前は言わなかったのでスオウのことだと知らなかったのである。
「あなた達、どうしてここに…」
先程の叫び声でフレイアとハヤテが来ているのに気づいたミラージュとチャックが後ろからやって来る。チャックは興味深そうにじろじろとハヤテを見た。
「ほぉ。こいつが例のダンスしてた」
「そうそう」
スオウが相槌を打っていると、ミラージュがハヤテにじとりとした目を向けていた。
「まさか…私に苦情を言いに?」
「自意識過剰」
「なっ」
ハヤテに鼻で笑われミラージュは睨み付ける。
スオウと同じケイオスの制服を着ている二人をAは横目で見ながら、今だ落ち込んでいるフレイアにこっそり聞いた。
「知り合い…?」
「え……ああ、あの女の人、あたしとハヤテを助けてくれたパイロットなんよ…」
(あの人が…。でもなんで仲悪そうなんだろ…)
Aは不思議に思っていると、絶望しきった表情のフレイアはある事を思いだした。
彼女―――ミラージュはパイロットだ。
ワルキューレの護衛をしているΔ小隊の。
ならば―――
「Δ小隊の人〜!オーディション受けさせてくれんかね!?」
フレイアは涙目になりながら勢いよくミラージュの両手を掴んだ。スキンシップに馴れていないのか、ミラージュは照れて頬を赤くしながら慌てている。
「3人共到着したようですが…」
その様子を別室にて監視カメラの映像で見ていたカナメが言った。隣にいるアラドは呆れ顔で画面に映るフレイアを見る。
「はぁ…予選通過の条件は?」
「データ上クリアしています」
「ったく…」
カナメの返答を聞くと、頭をかいて電話をするのだった。
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作者名:空 | 作者ホームページ:http://id38.fm-p.jp/213/7772010/
作成日時:2016年9月13日 7時