【マクロスΔ】女神の歌・２ (ページ30)

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カナメは残念そうな様子を見せず、笑顔でメッサーの背に向かって声をかけた。

「そう。また今度ね」
「相変わらずだな。女神様の誘いを断るなんて、ファンが知ったら後ろから刺されるぞ」
「まったくだぜ」

スオウとチャックがメッサーの背を見ながら言いあう。Aはずっとハヤテの後ろに隠れながら離れていくメッサーに視線を送った。
(怖い…。どうしよう、挨拶できなかった)
背が高く体格がいい上にあの”話しかけるな”とばかりの仏頂面。良く言えばクール、悪く言えば威圧するような雰囲気。
本来ならばこれから一緒に仕事をするメッサーに挨拶をしなければいけないが、大人しいAには声をかけずらく、メッサーが裸喰娘娘に入ってゆくのをただ眺めるのだった。

―――
　裸喰娘娘にて改めてチャックからウェイトレスである一番上の妹マリアンヌ、弟のポニーテールの方がハック、そしてザック。一番下の妹エリザベスを紹介された。このチャック兄弟で店を切り盛りしていて、チャックは料理人としても腕を振るっておりパイロット業と二足の草鞋を履いている。Aは「すごい」とチャックに尊敬の念を感じた。

「おいしい…」

奢ってもらったラーメンも、クラゲの刺身も、中華風の炒め物もどれも美味しかった。値段も手ごろで、これは店が大繁盛なのも頷ける。カナメ、レイナ、マキナという憧れの女神ワルキューレと一緒に食事しているということが味を一層美味しく感じさせた。
(ワルキューレと一緒にご飯食べられるなんて夢みたい。カナメさんとマキナさん美人だしレイナさんは可愛い……食べてる姿も素敵とか、やっぱり特別な人達だよね)

Aはうっとりした表情でワルキューレメンバーを見つめる。幸せでたまらない。この幸せな気持ちだけでお腹いっぱいな気分がした。

「ゴリウマ～！チャックさんどれもゴリゴリおいしいですっ！」

幸せを感じているAの隣でフレイアが笑顔で炒め物を食べていた。ルンがピカリ、と光る。

「そんなに喜んでもらって嬉しいなぁ。デザートも出すから楽しみにしててね」
「きゃわわ～なのよろしくね～♪」

マキナのお願いにチャックは「りょーかい！」と言って厨房の奥に消えていく。するとAはグラスのお茶を飲みながら厨房にチラチラと視線を向けた。それにラーメンを食べているスオウが気づく。

「厨房が気になるのか？」
「えっ。…はい」

スオウに聞かれたAは答える。それを聞いてハヤテが「あぁ、そっか」と呟いた。