【マクロスΔ】女神の歌・２ (ページ27)

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「「こんなことになるとは」はこっちも同じだよ。まさかあの時の子供の民間人が後輩になるとは思わなかったな」

スオウが言うと「子供」の部分にハヤテがムッとする。スオウは楽しそうにニヤリと口の端を上げた。

「ミラージュだいぶキレてだぞ～。訓練覚悟するんだな」
「上等だ。絶対飛んでやるからな」
「おーおー、ゲロった奴が大きな口叩いたもんだこと」
「ゲロった？」

フレイアがきょとんとしてオウム返しした。Aは何のことかとじっとハヤテを見上げる。知り合いに、しかも女性に聞かれたくない屈辱を話されハヤテは慌てる。

「おい！余計なこと言うなよっ」
「ハヤテさん…もしかして吐いたんですか？具合悪いんですか？」
「違うって。全然大丈夫だから」

ゲロッた。つまり嘔吐したと気づいたAは心配しだす。ハヤテはしまったという顔をしてすぐ否定してスオウを睨み付ける。
Aを心配させることを言うな、と目が言っていた。スオウはそれに気づいてるのか気付いてないのか、気にせずに話を続ける。

「そうそう平気だよ。ミラージュのアクロバット飛行を体験して乗り物酔いしただけだから」
「それでゲロッたん？まぁ、素人やし酔うのは仕方あらへんよ。でもΔ小隊の人達みたいにかっこよく飛べるようになるんは遠そうやねぇ」
「うっせえ。絶対飛んで驚かせてやる」
「期待しないで待ってるよ」

スオウはハヤテの言うことを軽く受け流し雑に対応する。すると、Aが内心緊張でドキドキしながら一生懸命ハヤテに応援の言葉をかけた。

「ハヤテさんなら大丈夫です。器用ですしバルキリーだって乗りこなせますよ！」
「ありがとな。お前も明日から歌とダンスのレッスンなんだろ？お互い頑張ろうな」
「はい」

Aは頬を赤らめてぱっと笑みを浮かべる。嬉しい、と思っているのが丸わかりでスオウもそれに気づいた。Aは大人しく感情があまり出てないが、ハヤテの前ではわかりやすくなる。明かにハヤテに好意を持っていると気づいた。

―――
　歩き続け海の上の桟橋を渡っていると水上に立つ中華風の大きな建物が見えた。チャックが大きく手を広げ、笑顔でA達に紹介する。

「ようこそ。ここが俺の家であり我がΔ小隊男子寮でもある”裸喰娘娘(ラグニャンニャン)”だ」
「ラグニャンニャン…」

フレイアが看板を見つめながら呟く。

(”娘娘”ってあの…？)
Aは目をぱちくりさせて店をじっと見る。大きな看板に”裸喰娘娘”と書かれていた。