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憧れのワルキューレのライブ衣装を身に纏った自分を呆然と見下ろす。
「今日からあなた達も」
「ワルキューレ」
レイナに続いてカナメが微笑む。
「あたしが…ワルキューレ?」
呆然と呟くフレイアのそばでAも座ったまま呆然としている。自分が銀河の女神の一員になれたのが信じられないでいた。
(私が合格?まさか…ほんとに…?)
「おめでとう!」
笑顔の乗客達…ラグナ支部の職員がカツラを脱ぎ、勇気を持って歌ったAとフレイアの合格を祝う。紫の髪に褐色肌の眼鏡の女性、ベス・マスカットだ。オーディションの受付嬢をしていた一人で、普段はオペレーターをしている。
「脅かしちゃってすみません」
クラゲ型の飾りを付けた緑髪の女性が謝罪する。べスと同じオペレーターで、受付嬢をしていたミズキ・ユーリだ。
「ガッツあるじゃねーか!」
中年男が危機的状況で歌った二人のガッツを褒めた。整備士のガイ・ギルグッドだ。
「あーっ!オーディションの受付におった!」
フレイアはベスとミズキに向かって叫ぶ。すると大人しくしていたヴァール症状の青年が立たちあがり、フレイアもAも怯えるが青年はカツラを取った。服に付いているボタンを押すとみるみる膨張していた体が元に戻っていく。
「いやぁ、感動しました」
申し訳なさそうに笑う青年。彼もこの試験の為に駆り出された職員で、服の中にボタン一つで空気が入り身体が膨張したようにしてヴァール症状者の演技をしていたのだ。ちなみに甲板でミラージュ機を整備していた若い整備士、ハリー・タカスギである。
「なっ…ななっ…」
フレイアは驚きのあまりまともに喋れないようで、口をあんぐりと開けワナワナと震えている。さらにこの整備士に殺された―――演技をした女性も立ち上がった。
「ごめんね。これ血のり」
血のり入りの袋を見せ、謝罪する女性は受付嬢の最後の一人、ニナ・オブライエンである。
(全部演技だったんだ…なんだぁ…)
それでもとても怖かった。まさかの真実にAは体から力が抜け、座り込んだまま長いため息をついた。
「クモクモの予想通りかな」
「ちょっと期待外れだったけどね」
新メンバーの様子を眺めていたマキナが聞くと美雲が素っ気なく返答する。
フレイアは実際にアル・シャハルの戦場で歌い、さらに「美雲さんの隣で歌います!」と本人に言いに来た。あれだけ自信満々に言ったのだから覚悟や度胸もあるかもしれないと思っていたのだ。
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作者名:空 | 作者ホームページ:http://id38.fm-p.jp/213/7772010/
作成日時:2016年9月13日 7時