【マクロスΔ】女神の歌・２ (ページ18)

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このまま地上に落下すると思いきや、突然発生した上昇気流でハヤテの体が押し上げられ元の位置に戻る。

「いい感じだ…！」

ハヤテは満足げににやりと笑った。

「こいつ…！」
「風に乗っただと…？」

アラド、メッサーが目の前の奇跡に驚きっぱなしである。スオウも驚いているが、ハヤテの度胸に面白そうに笑う。この礼儀知らずな子供は予想以上に度胸がある。命知らずな大ばか者だ。だがそんな大ばか者がスオウは嫌いではなかった。

軍が嫌いなハヤテはパイロットに絶対になりたい、という思いはない。ただアラドの言う通りアル・シャハルでバルキリーに乗ってAとフレイアの歌声を聞いた時に感じた”風”は気持ち良かった。その時の不思議な風をまた感じてみたいという思いがあり、試してみたのだ。アラドの言う「あとは飛ぶか飛ばないか。命をかける覚悟があるかどうか」を。自分でも無茶をしたと思っている。Aあたりが知ったら青ざめた顔をして「何でそんな事をしたんですか！？」「怪我はないですか！？」と大慌てで心配するだろう。
だが危険な事を試してみていいと思えたのだ。

―――あの時の風を感じれるならパイロットになっていいかもしれない。

「すごい数値…」

　ワンピース姿のリボンのブレスレットから表示されるモニターにAとフレイアの歌のアクティブ反応の高い数値が映っている。隣にいる帽子を被った少女と共に驚いていた。二人の歌声が終わる頃には青年は驚いた表情でふらりとフレイアから離れ、尻餅をつき大人しくなる。まさか鎮圧できたのか？そんなばかな…とAは涙を浮かべながら信じられないようなものを見る目で見た。

「…これ」

何とか鎮圧できたとほっとしているフレイアに眼鏡をかけたポニーテールの美女が音楽プレーヤーを差し出した。それはフレイアが大切にしている物だった。フレイアはそれを受け取りつつ美女を見上げじっと見つめる。

「大切な物なんでしょ？」
「その声…」

初対面のはずの美女の声にフレイアは聞き覚えがあった。憧れのあの女性の七色の声に。
美女は微笑むとフレイアから離れ、ワンピース姿の女性と帽子を被っているショートヘアの少女の間に立った。

「ウェルカムトゥ、ワルキューレワールド！」

美女が明るく言った途端、床にはめ込まれているモニターから光が溢れ、美女達3人の姿が変わってゆく。ポニーテールの美女の髪は紫色の長い髪に。