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周りの乗客はざわめき、Aと顔を上げたフレイアもどうしたのかと顔をキョロキョロさせているとアナウンスが流れた。

『お客様にお知らせします。バレッタ市内でヴァールによる暴動が発生しました』
「嘘!ワルキューレは何やってるの!?」

怯える女性客の一人が怒鳴る。ワンピース姿の女性が皆に「これを見て!」と声をかけると、彼女の腕輪から本を開いた形の立体画面が表示された。そこにバレッタ市内の生中継映像が流れており、レポーターの背後で車から炎が上がり、たくさんの悲鳴が響いている。爆発と共に画面が砂嵐になり中継が切れてしまった。
A達乗客全員、突然の危機に驚きと恐怖で顔色を悪くしているとAとフレイアの近くに立っていた青年が急に苦しみだした。震えながら呻き声を上げ、もう限界なのか膝をつく。

「どうしました?大丈夫ですか?」

眼鏡をかけた女性が心配そうに声をかけると、青年の顔に血管が浮かび、一気にムクムクと体が膨れ上がっていった。そしてなんと目の前の女性に襲いかかる。

「きゃーっ!!」

女性客の悲鳴が響いた。
目を見開いて固まるAとフレイアの目の前に鮮血が飛ぶ。衣服が赤く染まった眼鏡の女性は倒れ、ぴくりとも動かない。

「ヴァールシンドローム…」

ヴァール症状が発生したった今女性客を殺した青年から距離を取ろうと乗客はモノレール内の隅に逃げた。だがここは密室。危機的状況に変わりはない。

「何してるの!こっちへ来なさい!」

突然の危機に恐怖で動かないAとフレイアに眼鏡をかけたポニーテールの美女が叫ぶが、逃げる前に青年に突き飛ばされた。床に倒れるフレイアに青年が近づいてゆく。それをAは少し離れた所に尻もちをついたまま震えて見ている。

(殺される…フレイアも私達も……)
アル・シャハルの時と同じように。
(ハヤテさん…!)
助けて、と心で助けを求める。恐怖で見開くAの瞳にフレイアと返り血を浴びた青年が映る。

この瞬間、Aの脳裏にフラッシュバックが起こった。凄まじい恐怖で体が震え、冷や汗が流れ息が荒くなり過呼吸寸前になる。


―――アル・シャハルでヴァールシンドロームが起き、ビルのスカイデッキから見えた爆発。悲鳴。デッキから落ちた自分。

笑顔の幼い自分。響く爆発音。地面に倒れている血で濡れた人々は動かない。泣き叫ぶ自分の甲高い声がガンガンと頭が痛くなるくらい響いて―――

〃→←〃


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バレッタクラゲのスルメ


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設定タグ:マクロスΔ , 夢小説 , マクロス   
作品ジャンル:アニメ
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作者名: | 作者ホームページ:http://id38.fm-p.jp/213/7772010/  
作成日時:2016年9月13日 7時

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