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その頃、地上ではヴァールを鎮圧し終えたワルキューレが瓦礫の山に立っていた。マルチドローンが4人の女神をライトアップしており、頭上に顔のアップ映像のホログラム映像が映っている。
「無限の星々に!」
カナメ、マキナ、レイナの3人が歓声を上げている周囲の住民らに向かって高々と叫ぶ。
「女神の祝福を!」
美雲が言いながら右手を上げ、指先でWの形を作った。
アンノーン部隊との戦闘が終わり、瓦礫だらけの地上へスオウ機が着地しキャノピーが開いた。操縦席に座るスオウは操作して手の平を座席に近づけると、後部座席に座るAに顔だけ振り向き声をかける。
「手に乗ってくれ、下に降ろすから。立てるか?」
「…は、い…」
疲労の表情のAは小さく擦れた声で返答するとシートベルトを外し、ヘルメットを脱いで返すと立ち上がろうとする。だが膝ががくがく震え、力が上手く入らずすとんと座席に座り込んでしまった。まだ恐怖により上手く力が入らないようだ。スオウはその様子を見ると立ち上がる。
「手、伸ばして」
急にそんな事を言われAは戸惑いの表情を浮かべる。
「俺の手貸すから。ほら、手伸ばす。摑まって」
スオウの説明にAはそういうことかと納得した。男性の手を掴むなど普段なら恥ずかしくて絶対にできないが、今はそんな事を言っている場合ではない。いつまでもここにいたらスオウに迷惑がかかるだろうと考えそろそろと手を伸ばす。スオウはAの手を握ると力を込めて自分の方に引っ張った。
「ひゃあ!?」
勢いよく引っ張られ、思わず悲鳴を上げて気付いた時にはスオウはスオウに横抱き―――いわゆるお姫様抱っこをされていた。Aは恥ずかしさでりんごのように真っ赤な顔になり、ピシリと体が固まった。
「嫌だろうけど我慢してくれ。こうしないと降りれないようだからさ」
(は、恥ずかしい…!)
力が入らないAのことを考えスオウは横抱きしたようで、そのままバルキリーの手の平に降り、軽々と地上に飛び降りる。そして恥ずかしさのあまり無言でいるAに声をかけた。
「立てないならこのまま救護所に連れてくけど…」
「だ、大丈夫です。もう大丈夫だから下ろしてください!」
こんな状態を他人に見られるなんて冗談じゃない。Aは真っ赤な顔で訴えるとスオウの腕から下ろされ、地面に足が付くと少しふらついたが力を込めしっかりと立つことが出来た。
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作者名:空 | 作者ホームページ:http://id38.fm-p.jp/213/7772010/
作成日時:2016年5月1日 18時