【マクロスΔ】女神の歌 (ページ33)

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すぐに操作してAを握る手を後部座席に近づける。

「後ろ乗って！」
「…え……」
「生きて帰りたいだろ！？早く乗る！」
「はっはい！」

強い口調で言われたAはびくりとしながら返事をする。スオウが合図をしてから手の力を緩め、Aは後部座席に座った。スオウはキャノピーを閉めると自分が被っていたヘルメットを渡す。

「サイズ大きいだろうけど被って。被んないよりマシだから」
「え…。ぁ…」
「早く被る！シートベルト締めて！」

早くしろとばかりに急かされ、言われるがままAは慌てて自分には大きめのヘルメットを被りシートベルトを締める。スオウはAが準備終了したのを確認すると上昇する。

「ひゃあっ！！」

Aがいるのでスオウは速度をできるだけ抑えているものの体にある程度Gがかかる。このバルキリーには耐Gシステムが装備されているとはいえ、初めてバルキリーに乗ったのでGに慣れておらず少し苦しい。ジェットコースター等よりずっとスピードがあるので驚き、そして怖かった。

―――Aとスオウが乗るバルキリーが飛び立った少し前の事。
ハヤテと避難していたフレイアはいけないボーダーラインを歌うワルキューレの姿にテンションが高まり、前髪部分にある”ルン”と彼女が呼ぶハートの触角がピンク色に輝いた。

「ウィンダミア魂を見せちゃるかんね～！」

そう叫び、歌いながら戦場へ走り出す。ルンからピンク色の光の粒子が放たれ、光の線を作ってゆく。
フレイアは”風の王国”と呼ばれるウィンダミア王国のウィンダミア人という地球外人類だったのだ。”ルン”はウィンダミア人の頭皮に同化した器官で、女性はハート形のものが1つある。ちなみに男性は星型のものが2つだ。脳波に同調しており、感情に合わせて発光したり興奮すると動いたり大きくなったりするのである。

フレイアの歌声は歌い踊る美雲達にも届いていた。

「この声…！」
「胸がちくちくって…」

マキナは歌声に驚きの反応を示し、レイナは胸に手を当てる。カナメは付け爪型デバイスで空中にモニターを表示させた。

「アクティブ反応？私達の他にも！？」

ハヤテはフレイアの命の危険を冒すような行動に驚いており、慌てて追いかけ乗り捨てられている新統合軍のVF-171ナイトメアプラスに乗り込んだ。バトロイド形態のそれを立ち上がらせ、フレイアに襲い掛かろうとしたゼントラーディ兵のグラージから助け出す。機械の手でフレイアを握り逃げようとした。