【マクロスΔ】女神の歌 (ページ14)

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「只今戻りました」
「お帰り。どうだった？ハヤテ君何て言ってた？」

　弁当屋に戻ったAは配達用セグウェイを車庫に置き、店内に入る。すると女将が早く結果が聞きたいとばかりに笑顔で声をかけ、Aは少し照れたような顔をする。

「ありがとうって言ってくれました」
「そうかい。よかったじゃないか」

料理を得意とするAお手製のリンゴケーキを店に置くという話が出てから、Aは店用に出すケーキを作る為ここ毎日ケーキを作っては従業員に食べてもらっていた。そのケーキをハヤテにも渡そうとこっそりハヤテ用に作っていたのを女将や従業員は知っており、Aがハヤテに片想いしているのを知っている女将はAの答えにほっとする。Aはさぞ喜んでいるだろうと思ったが、彼女が悲しげな瞳をしているのに気づいた。

「…あの、女将さん。私はそろそろ失礼します」

考え込んでいた女将はハッと視線を上げげると、Aが申し訳なさそうに見上げていた。

「あぁ、今日は午後から休み取るんだったね。買物行くんだっけ？」
「はい。来週の旅行の為に色々買おうと…。服も普段着より少し良いの買いたいので」

Aは来週有休を取り他の惑星に旅行に行く予定になっていた。旅行用の鞄や服等を購入しようと今日は午後に休みを取っており、バスでアル・シャハルで人気のファッションビルに行くつもりである。

「女の一人旅は危険もあるから十分気をつけて行きなよ、ワルキューレのオーディション」

口元に笑みを浮かべながら言われた言葉にAは固まった。

「―――女将さん、私は…」
「惑星レヴィに行くって言ってたけど、ほんとはラグナで来週やるオーディション受けに行くんだろう？私に嘘が通用すると思ってたのかい？」

すぐにAが何か言おうとするが女将の言葉に無言になる。

「気づいてたよ、あんたが大好きなワルキューレのオーディション応募してたの。予選通ったんでしょ？」
「……はい」

ワルキューレのオーディションは予選があり、プロフィールデータとワルキューレの曲を一曲歌った動画を送り、通過者のみが最終オーディションを受けられることになっている。

「後悔しないようにやれるだけのことやってきな」

女将はそれだけ言うと真剣な表情を笑顔に変えニッと明るく笑った。

「ラグナ星に行ったら名産のバレッタクラゲのスルメを送ってちょうだい！あとバナナ酒も頼むわ」
「…はい」

Aは目を細め柔らかに微笑んだ。