【マクロスΔ】女神の歌 (ページ12)

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「大きなお世話…―――！」

ハヤテはハッとした顔をして動きを止める。Aとフレイアは不思議そうに彼を見ると、Aもハヤテと同じ驚いた顔でフレイアの背後を凝視する。彼女のすぐ横に×形の小型のドローンが近寄ってきたのだ。空中投影型ディスプレイに眉を吊り上げた男の顔が映る。

『いやがった！』
「うひっ！」

男の怒鳴り声に、フレイアはやばいとコンテナから飛び降りた。

「あ！お握りごちそう様でしたー！」

走りながら顔だけ振り向きAとハヤテに手を振ると、すぐ前方にある下に続く梯子を滑り降りていく。

『待てー！』
「待たーん！」

男とフレイアの叫び声が響き、しだいにフレイアの足音が小さくなっていった。まるで嵐が去ったようで、静寂が訪れる中、立ち尽くすハヤテにAは歩み寄る。

「何なんだよあいつは…」

ハヤテは右手で頭をかき不機嫌そうに呟いた。Aは彼を見上げ、そしてフレイアがいなくなった方向を見る。
自分とは正反対のとてもパワフルな少女だった。
「落ちるに決まってる」と言うハヤテの言うこともわかる。ただでさえワルキューレのオーディションは競争率が高い。受かるのは難しいのにフレイアは受かるとポジティブに考えているようで、オーディションを受けることを諦める気はさらさらなさそうだ。また密航して惑星ラグナに行く位するかもしれない。
(すごいな…。可愛いくて性格も明るくて度胸もあって、あの子ならもしかして受かるかも…
私と違って…)
オーディション合格目指してポジティブに頑張るフレイアが羨ましい気持ちと、妬む気持ちが生まれる。

無言でいたが、ふとハヤテを見上げた。彼に聞きたかったことがあるのを思い出したのだ。

「ハヤテさんがクビになったって聞いたんですけど本当ですか？」
「あぁ…。ホントだよ」
「これからどうするんですか？」
「とりあえず今日はどっか安いホテルに泊まる。明日から別の仕事探すか…」

ハヤテは面倒くさいとばかりの顔をすると、Aは緊張した様子で頬を赤らめながら思い切ったように口を開いた。

「あ、あのっ、よかったらうちで働きませんか？」
「うちって、弁当屋で？」
「はい。女将さんが配達要員募集してるんです。ハヤテさんバイク乗れるからどうかなって…」
「ん…。まぁ考えとくよ」
「はい。あの、他で働くにしても女将さんに相談してみて下さい。女将さんあちこちと弁当配達の契約してて顔広いから機械作業の仕事紹介してくれるかもしれないです」