夏を知らない少年たち2 (ページ6)

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《東京B少年》
※こちらのストーリーの主人公である直樹が意識を失っている為、一時的な主人公は雄登になります。この注意書きがある場合は雄登主人公進行として考えてください。

「スタッフさん…」

雄登はスタジオに着くと良く見かける偉いスタッフに声をかけた。

寡黙で冷静がキャッチコピーの東京B少年は普段メンバー以外と話すことは一切ない。

そのため声かけられたスタッフのみならず、スタジオ全体が驚きで黙り込んだ。
こんなに静かなスタジオは今まであっただろうか？

「……那須くん？どうしたの？」

そんな姿を見かけた打ち合わせ中のマネージャーが急いで寄ってきた。

「ちょっと那須くん、僕を通してもらっていいかな？」

マネージャーの顔は曇っている。
雄登はそんな声掛けを無視してスタッフに告げた。

「…うちの藤井が倒れました」

静まり返っていたスタジオはざわついた。

「…それは本当？なんでマネージャーの僕に話を通せないかな？」

「…うるせぇ」

雄登は呟いてからスタッフの手を掴んだ。

「救急車、呼んでください！事務所のことは無視してメンバーの事を考えてください！！」

スタッフに訴えかけると、近くにいたキンプリの海人がスマートフォンで病院を呼んでくれた。

マネージャーは舌打ちをしてから楽屋へと向かう。

「ありがとうございます。海人くん」

「いいよいいよ。それより今日は休みなよ」

「…え、でも……」

「大丈夫やで、こいつが代わりに出てくれるって」

廉くんから肩を押されて目の前に飛び出して来たのは瞳の大きい小柄な少年だった。無論、見たことはなかったが。

「…あ、あの…」

「やばい…那須雄登だ…！」

雄登は少年を知らない。

「えっと、どこかで……」

少年は言葉を遮るように

「状況が悪いですが、握手してください！！」

と手を差し伸べてきた。