「人」である基準 (ページ9)

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8.諦め、とも言うページ9

. 余談だが、僕の変身できる姿のレパートリーは少ない。普段は必要ないからである。僕の容姿にはモデルがいて、そいつの特徴を真似ているので、新しくレパートリーを増やすのにかなりのエネルギーを使うから大変なのもある。

何が言いたいかと言うと、せっかく姿を変えたが、この姿で食事をして人間に見つかるのは不都合だ、だから幼子に戻った、ということ。
もう見つかってしまったのだから幼子の姿でいよう、という発想である。幼子の姿は、相手の油断を誘いやすいしな。
お、1人で歩いてるやつ発見。人目の付かないところへ連れて行こう。

数日間このような生活を続けて、食糧と共に、持っていた通貨を頂戴した。まぁ、お陰でポケットの中にはそれなりに貯まっている。酒屋でも行こうか。
僕にとって人間の食事は殆どが味がしないし、食べても意味がないのだが、酒のある所には人が、情報が集まる。酒が入っているやつなら多少おかしな質問をしても気にされない。都合のいい場所なのだ。

なんて考えていると、1人で路地へ入っていく人間が。自分から人目に付かないところへ行くなんて、僕に狙ってくれと言っているようなものだ。
そっと後ろから着いていき、入り組んできた所で声を掛ける。

「お姉さん、道に迷っちゃった、助けて」

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