「人」である基準 (ページ6)

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5.考える作業はエネルギーを使うページ6

. まずこの世界は、僕にとって異世界であるらしい。そしてこの世界の人間は、多くが特殊な能力を持っている。そして、経験則にそうなら、あと1月は帰れない。個性があるとかよく分からないが、人間のいる世界で良かった。餓死は免れる。しかし1月も知らない所でどうやって過ごそうか……。

考え事をしていると、時の流れは早い。
気が付いたら日が落ちかけていて、職員に声を掛けられた。
結局徹昼してしまったが、眠気は無い。
仮説があっているとすればあと1月は帰れない。
どうしたものか……どうしようもないな。

考えごとばかりしていたらお腹が空いた。
とりあえず、長いときを生きて、子供の姿で夜出歩くと面倒な事になると学んだので、人気の無い路地裏へ。

しばらくふらふらしていると、叫び声が聞こえてきて、不意に甘い香りを感じた。行く当てもないので好奇心に任せ声のした方へ向かう。たどり着いた先には。
血を流した人間がうつ伏せになっている。背中に深い傷。他人にやられたと見える。動かないが、呼吸は辛うじて止まっていないようだ。
甘く魅惑的な香りに、思わず口角が上がる。
こんなに都合の良い食事があるのだ。まだ生きてるとか関係ない。見逃す理由がない。誰だか知らないが感謝する。
遠慮無く喉元に噛み付く。まだ体内循環は止まっていなかったらしい。溢れでる血液の勢いに負けじと勢いよく吸う。こいつはなかなかに美味だ。血の味にも個体差があるからな。
血が吸えなくなってきて、まだ空腹感があったので腕を取ってかじる。こちらも脂が少なく、良い食材である。やはりまだ息のある人はおいしい……死肉を食べた事はあるが、鮮度と言うか……その。うーん、こいつなら全身食べられそう。

久しぶりの上物を堪能していると、突然目の前が眩しくなる。
「先輩!発見しました!……っ?お前!そこで何をし、てい、る」
光源と声のした方を向くと、そこにはライトを持った人間が。

あ、やべ。