「人」である基準 (ページ4)

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3.知らない人に付いていくページ4

. 「ふふふ、それじゃあきみは迷子って事ね」
「はあ……まあ……」
出されたお茶を頂く。あんまり美味しいとは感じないが。
それよりどうしてお嬢……もといお姉さんの部屋に来ることになったのか。

簡単に言うと、怠惰の結果である。
まあ正体晒す気は無いし、逃げても現状どうしようもないし、子の姿の恩恵を受けれる分受けようと思った。つまり面倒だったので成り行きに任せた。

「あ、ここは私の部屋じゃないから、誘拐ではないわよ?念のため。ここは私の事務所。」
事務所?誘拐なんて言ってないが……。若そうだが経営者なのか。
「きみ、その様子じゃわたしの事知らないんでしょ」
首を傾げた僕を見てそう言うお姉さん。正直に、知りません。と言う。

「まあ、デビューしたばかりだから。私はMt.レディ。駆け出しのヒーローよ」
「ひーろー?」
ヒーローとはそんな職業のように語る肩書きなんだろうか。僕の知っている範囲では違うが……。
「ヒーローぐらいは知っているでしょう?凶悪な敵を倒す、国家公認のお仕事」
説明ありがとう。国家公認のお仕事……?日本(仮)ではそんな職業があるのか。凶悪な敵って言い方は大袈裟な気がする。まあ、自分から説明してくれたおかげで知らないと言う事はしなくて済んだ。常識のようだし。

そこまで言って、Mt.レディは真剣な顔になり此方を向く。
「きみの保護者は?なんて名前?」
……何も考えてない。が公務員という事だし、真面目な問いだろう。下手に返せば、知らない土地で政府機関にお世話になるかもしれない。色々都合が悪い。僕が導き出した最適解は、

「何も、覚えていないんだ」

「記憶喪失ってこと?」

記憶のないふりだ。

都合の良いことに、だったら、と夜遅いからここで休みなさいと言われた。
遠慮なくお世話になる事にしよう。