2.歳故の冷静 ページ3
. ──そしてまた見えなくなる。
まず初めに感じたのは突然の眩しさ。次いでもたれていた木の無くなる感覚。……えっ?
倒れぬよう前へ重心をかける。慌てて目を開く。
「……こ、れは……」
なぜだろう。僕は森にいたよな？でもこれは……公園、だろう。間違っていなければ。
手掛かりがないか当たりを見渡す。外灯に照らされたベンチ。看板の表記は……日本語か⁉
日本語?ここは日本なのか。一つだけ分かるのは、僕の知る土地ではない、という事。
少なくとも、僕のいた辺りの人里では日本語は使われていない……僕は喋れるが……。
今すべきことは……夜のうちに状況を把握し、安全な場所を探す事だろう。
そうと決まれば早速。人を探すか。人に聞くのが、状況を最速で理解出来るだろう。
時計の針は3を指している。
近くに人の気配は無い。明るい方へ行くべきだろう。
満月の光の下、人工物の間を進む。
しばらく歩いて、喧騒が大きくなる。時間故か人は通りにいないが、賑やかな音がする。なるほど、駅前の繁華街って所か？酒の入ってないやつを見つけて話を聞くか。
しばらく通りに沿って歩くと、しっかりとした足取りの人をようやく見かける。
長髪に、ツノの生えたお嬢さん。……ツノ?仮装大会中だろうか。
まあ、意思疎通できそうなら誰でもいい。
「そちらのお嬢さん。よければお話して頂けないか?」
お嬢さんは、一瞬呆れたような目をしてこちらを向いて、呆れを驚きに変える。
「あら、どんな男かと思えば……こんな時間に小さい子が出歩いてるなんて。
きみ、いくつ？家族のみんなは?」
そう言われて、自分が今10歳程の人間の姿である事を思い出す。物理的に小さい方がエネルギーを使わないからな。でもしまった。こんな時間に幼子は出歩かない。
「え〜っと……」
「君ぐらいの子どもが大人にお嬢さんって言うもんじゃないわ。お姉さんって呼びなさい?」
貴方よりは年上だ。これでも100年以上生きている。しかし、話しかけてしまったものは仕方ない。幼子のふりをするか……。
「お姉さん……1つ聞いていい?」
「私がわかる事なら」
「ここって……どこ?」
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作者名：メルキュール | 作成日時：2020年5月18日 18時
