「人」である基準 (ページ17)

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16.手持無沙汰ページ17

. 流石に居候が何もしないわけにもいかないので、家の仕事を手伝わせてもらっている。暇だし。できる事他に無いし。室内のものだけ。
記憶は戻っていないことにしているが、太陽が苦手だということは伝えた。何も疑わず信じてもらえてありがたい。というか何も言わずに記憶喪失の子を置いておくなんてお人好しが過ぎないか?

色々手伝ったあと、部屋で自由にしてていいわよ、と言われ、他にする事もないので、考えていた事を整理することにした。

突然やって来た異世界。
元の世界に帰る事が出来る確証が無い以上、いつまでもこうしているわけにはいかないだろう。もうそろそろ断食も限界である。
新たな拠点を構える事が最善に思う。

ここで問題になってくるのがこの世界における僕の立ち位置と、ヒーローの存在だ。

この世界の者ではないから当然だが、戸籍や身寄りは無い。まぁ人間では無いので元いた所にも戸籍は無いが。
路地裏生活ならその心配は薄くなるが、この世界にはヒーローがいる。この間のような真正面からの戦闘ばかりしなければならないなら、かなり危険だ。あと面倒。
(食糧的に)あまり人里から離れるわけにもいかないし……。

というわけで、１つ考えていたのだ。

誰かを食べて、そいつになりかわる。

食事も出来るし、外見は変えられるので問題無いし、戸籍等の心配もなくなるし、なかなかいい案だと思う。
しかし、上手くなりかわるには、外見だけでなく、内面もある程度知っている必要がある。

それに個性。僕に出来ない事が出来る能力ならば、そいつは突然出来なくなるわけだ。周りに怪しまれる。
僕は闇を操ったり、吸血したやつの記憶をいじったり、人の傷口舐めると外傷が治ったり、後半２つは食事の事実を隠す為だが、まあ、生きていく上で必要な事ならできる。これらどれかができるやつならいい。

ここまで聞いて、ぴったりなやつがいると思わないか?

そう、もう1人のA、A・ヴァイスだ。