「人」である基準 (ページ12)

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11.続ページ12

. 僕はかなり面倒くさがりな方だと思うが、面倒事が好きな人はいないだろう。

なんなんだ……。ひとの腕をいきなり消し炭にするやつが面倒で無い訳ない。
「何をする……はこっちの台詞だ」

「いきなり攻撃したのは済まないな。ただ、他人に危害を加えそうなやつを止めない訳にもいかない」
何故なら、とこちらを睨んだまま続ける。
「ヒーローだからだ」

ああそうかよ。と思うと共に、目の前のやつがパソコンで個性の例として見た人だと気付く。
「だからって腕を消し炭にしていいとは思わないがな」
吸血鬼の再生能力は高いので、もう腕は元通りになっているが、バレると更に面倒なので服で隠す。やられたのが僕じゃ無ければこいつが悪者だぞ。

「そこで倒れている2人……実力あるヒーロー達だ。そんなやつがやられているのでな、お前を放っておく訳には行かない。安心しろ、ついてくれば腕は治してやる」

やはりヒーローなのか。まて、女の方も?これといって攻撃してこなかったし、油断しまくりだったが。

「大人しく付いてきてくれるか」
「嫌だと言ったら?」
僕の言葉が挑発に聞こえたらしい。怒りを露わにして彼は叫ぶ。
「力尽くで連れて行く!」
そう叫ぶと同時に、彼は炎を放った。避けたが、また次の攻撃。
先程はピンポイントで僕の腕だけ燃やしたり、今は僕の着地点を狙ったり、僕の知っている人間とはかなり違うらしい。路地裏の狭さもあり、逃げづらい。先程の彼も強かったが大分余裕がない。
反撃のタイミングを見計うが、隙が少ない。
かくなる上は……。
相手が広範囲攻撃を放って視界が狭まったタイミング。
僕は闇に溶ける。

相手から見れば一瞬で消えたように見えただろう。突然のことに動揺している。闇の中を移動して、攻撃の当たらない場所へ。逃げられたか……、と悔しそうにしている。愉快。
見られている時に闇に溶けるとそこを攻撃してくる可能性があるからな。上手くいって良かった。

僕はしばらく闇の中から、他の人間がやって来て倒れている2人を回収するのを眺めていた。