「人」である基準 (ページ11)

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10.面倒事は嫌いだページ11

. 逃げようにも、執拗に拘束しようとしてくるので、回避ばかりしなくてはならない。
これじゃあ埒があかない。僕は無駄な事に時間を割くのは好きじゃない。
「終わらせよう」
「……?」

警戒しても、もう遅い。

次の瞬間、彼の体に黒が絡みついた。
「なんだ⁉動けない……⁉」
黒に捕らわれた彼は、いまは自分の意思では動けない。
黒の正体は?
夜は僕の時間。夜の闇は僕の物だ。彼に服が操れるように、僕には闇が操れる。捕らえる力を強くして、気絶させる。拘束をとくと、彼は地面に崩れ落ちた。
側で動かない先程の彼女の横に並べておく。

本当に、人の食事を邪魔するやつが多いな!
こいつも食ってやろうか。僕はまだお腹が空いている。
強い人間はおいしいと相場が決まっている。

彼の肩に手を置いて嚙みつこうとした。

できなかった。
僕の腕が一瞬にして燃え上がったからだ。
「……?」

「何をしようとしているんだ?」
振り返れば炎を纏った屈強な人間が。

ああ、面倒な事になった……。