今日:3 hit、昨日:13 hit、合計:19,698 hit
小｜中｜大
･ ページ23
.
「‥‥ごめんなさい」
静寂が苦しくて、最後にもう一度だけ謝った。
それでも尚辰哉くんは何も言ってこない。
それが悲しくて虚しくて、静かに立ち上がろうとした瞬間。
「どこ行くの」
無機質な声が部屋に響いて、私の左手首を辰哉くんがぎゅっと掴んだ。
「帰る」
「何で」
「何でって何で」
「‥‥何だろーね」
「なにそれ、」
言い終えると同時に更に手を引かれ、バランスを崩し、あっという間に辰哉くんに組み敷かれた。
頭の後ろにはソファのクッションがあって、目の前では無表情の辰哉くんが私をじっと見下ろしている。
掴まれた左手はそのまま、徐々に力が込められていき少しだけ痛い程だった。
「辰哉くん、」
その表情からは何も読み取れず、なんだか怖い。
もはや私の知っている辰哉くんではなかった。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 264人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「佐久間大介」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あさひ | 作成日時：2021年9月13日 3時
