瞬きすら Ⅳ (ページ22)

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「で、どうしたの」

私が落ち着いた頃を見計らって声を掛けてくれたようだけど、辰哉くんの優しい声にまた泣きそうになる。

いい加減やめたい。全部取っ払ってしまいたい。

「だ、だから、私は辰哉くんが好きで、」
「それは家族として、でしょ？」

諭すような声。

「違う、どうしてそんなこと言うの」
「だってお前、」
「辰哉くん、気付いてたでしょう？気付いていて、知らないふりしてたでしょ？」

辰哉くんの眉毛がぴくりと動いたのを見逃さなかった。
やっぱり図星だ。

「ちゃんとした妹になれなくてごめんね。困らせてることも分かってる。だから何度も何度も辰哉くんのこと忘れようって思ってた」

「けどあの日、ここに泊めてもらったあの日、辰哉くんに抱き締められて、私はそれ以上を望んじゃったの」

「もっと辰哉くんに触れたいって、辰哉くんに触れてほしいって、」

「キスがしたいって、思って、」

涙で視界が滲むから、辰哉くんの表情が確認出来ない。

だけどきっと引いているんだろうな。

言葉に詰まって黙ってしまった私に、辰哉くんは何も言ってこない。

これが答えだと思った。

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