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返答するタイミングを完全に失って黙ったままでいると、もぞもぞと隣から音がしてベッドが揺れた。
何も見えないけど辰哉くんが小さなため息をついて、その空気が私に触れたことから、辰哉くんは今私の方を向いていることを感じ取った。
「どうしたらいい、俺」
さっきよりも小さい、消え入るような声で確かにそういった。
何のことを言ってるのか分かるようで分からない。
今辰哉くんが、どんな表情でいるのかも。
続きを聞くのが怖くなって、寝たふりをするのも限界だった。
「‥‥辰哉くん」
「えっ、起こした？」
「んーん、平気」
「‥‥何か聞こえた？」
それを私に聞くと言うことは、辰哉くんにとっては都合の悪いことを口走ってしまったのだと瞬間で悟る。
「何かって？寝てたから聞こえなかった」
「そ、ならいいんだけどさ」
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作者名：あさひ | 作成日時：2021年9月13日 3時
