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「佐久間っ、私に沢山色んなことしてくれたし、沢山愛をくれた。でも私、なんにもお返し出来てない‥‥っ」
節目の今日、いつもよりも丁寧に仕上げたメイクが滲んでしまうことを気にも留めず、感情をそのまま吐き出した。
すると佐久間は一瞬驚いたような顔をした後、すぐに眉を下げて笑った。
「それ、いつも言ってたね。" お返し " ってやつ」
「俺ね、Aに見返りを求めたこと、一回もないよ」
「A。愛ってね、返そうって思うことじゃないよ。与えたい、って思うことだと俺は思うよ」
ハッとして佐久間を見ると、「やっとこっち見た」と佐久間が笑う。
その通りだと思った。
佐久間は私に沢山の愛を与えてくれた。
だから私もそれに応えようと、返したいと思っていた。
じゃあもし佐久間が愛を与えてくれていなかったら、私は佐久間に何かしようと行動しただろうか。
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作者名：あさひ | 作成日時：2021年9月13日 3時
