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「なあA」
「うん」
「別れよう」
足掻いても足掻いてもその瞬間は訪れる。
必然的に。
原因は私だ。
いつになっても佐久間のことを一途に想えないことを、佐久間は見抜いていたんだ。
それでいて同じ重さの愛を返せるわけでもないくせに、何かに蓋をして必死で佐久間を繋ぎ止める私の狡さに、とうとう嫌気がさしたんだと思った。
「A」
こんな時ですら優しく名前を呼んでくれる。
私は佐久間に全てをあげられなかったのに、この声が他の女の子の名前を呼ぶ日が来るのかと思うと苦しくて堪らなくなる。
「こっち向いて」
「‥‥やだ、」
「お願いだから、」
「やだよ、佐久間」
「なんで」
「だって」
「ん？」
ゆっくりでいいよと佐久間の手が肩甲骨のあたりを優しく撫でる。
「だって私、佐久間に全然返せてない、」
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作者名：あさひ | 作成日時：2021年9月13日 3時
