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「あ、ほい、これ」

「え、あ…ありがと…!」



鳳仙学園からの帰り道、自宅まで送ると言い張る小田島くんを渋々許して、小さなアパートまで送ってもらう。玄関前、おばあちゃんからもらった大事なハンカチを、小田島くんは。

渡してくれ、るはずった。



「ねえ、…っ、と、届かないです…!」

「届かないようにしてまぁす」

「…デ、デートしたら、返すって言った…!」



私の手元に帰るはずだったハンカチを、何を考えているのか、小田島くんは手を伸ばして、高くまで上げてしまった。身長差があるから、必死に手を伸ばして届く訳がなくて。

今日ずっと、小田島くんの言うこと聞いてきたのに、結局返してくれないの…?ひどいよ。

そんなことを思っていたら、なんだか振り回されていることが悲しくて、少しだけ鼻の奥がつんとする。それを、彼が見逃すわけもなくて。



「あー、ごめんて。意地悪しすぎた?」

「…っ、し、知らないです」

「泣ーくなって、な?」

「な、いてない……!」

「……悪かったよ。ん、ほれ」



ようやく掌に戻ったハンカチ。お守りみたいなものだから、手元に返ってきてほっとする。

ただ、ほっとしたのも、束の間。



「これ、なーんだあ?」

「え?……っ!」



小田島くんの手元に、鍵。もちろん、私のアパートの鍵だ。だけど、どうして。ポケットに入れて置いたはずなのに。



「ま、まさか、ポケットから取ったの…?」

「人聞きわりいなあ、葵ちゃん、帰り道落としたよ?」

「え…」

「ほーんとうー。ハンカチのことで頭いっぱいだったろ?俺拾ってやったんにー」

「あ…ご、ごめんなさい。その、」



疑ってしまった。よくよく考えれば、小田島くんは意地悪したりからかってくるけど、今日一日なんだかんだ優しかった。たくさん気遣ってくれたり、さり気なく気にかけてくれた。分かりづらいことばかりだったけれど、女の子扱い、してくれてると思った。(そして、慣れているな、とも)

それなのに私は、まだ見た目やレッテルで、判断してしまっていたんだ。そう思うと、ハンカチという人質があったのせよ、きちんと小田島くんと向き合えてなかった気がして、申し訳なくなってくる。



「ご、めんなさい…」

「…」

「その、」

「…敬語、」

「え?」

「時々出てくる敬語、やめてくんねえ?」

「…え、敬語?」



それでチャラにしてあげる、そう言って、小田島くんはまた頭を撫でた。

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aoi(プロフ) - みさももさん» そうなのですね!!うれしいです*甘ったるい中に、少しどろっとしたものを持っているような、そんな感じで描いていこうと思ってます!更新がんばります* (2019年11月20日 16時) (レス) id: fdd157f3df (このIDを非表示/違反報告)
みさもも(プロフ) - 私の中の小田島くんのイメージにぴったりなんです!あまあまだけどやる時はやる男と言うか、、、だから大好きです!これからも愛読させていただきます! (2019年11月19日 23時) (レス) id: 9abd401940 (このIDを非表示/違反報告)
aoi(プロフ) - みさももさん» こんばんは、コメントありがとうございます*すっごくうれしいです!私の描く小田島くんは、少し優しすぎると言いますか、女々しいかな、なんて思いながら描いていたので、励みになりました。これからよろしくお願いします! (2019年11月18日 21時) (レス) id: fdd157f3df (このIDを非表示/違反報告)
みさもも(プロフ) - 初めてコメントします!私的に小田島くん小説で一番大好きです!更新ファイトです! (2019年11月18日 21時) (レス) id: 9abd401940 (このIDを非表示/違反報告)
aoi(プロフ) - ぱんださん» コメントありがとうございます。鳳仙の絆すばらしいですよね…!更新お待ちいただけるとうれしいです* (2019年11月18日 17時) (レス) id: fdd157f3df (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:aoi | 作成日時:2019年11月12日 22時

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