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「…ん……」


『……ら、…いよ』


薄れていた意識が覚醒する。あれ、私、洋ちゃんのお家で大泣きして、迷惑かけて、そのままどうしたんだろう。うつらうつらする記憶を手繰り寄せて、重い瞼を開けた。

途切れ途切れに洋ちゃんの声がする。誰かと電話してるみたい。静かな部屋に彼の落ち着いた声が聞こえていたが、私が声を出したからか、洋ちゃんは電話を切った。



「起きたのか?」

「…え、あ……私、寝ちゃってた?」

「…泣き疲れて眠るとかガキかよ」



憎まれ口を叩きながらも、肩まで掛かっているブランケットは洋ちゃんの優しさ。ふわり、その温かい彼の手が頭に置かれた。撫でられる。

小田島くんもよく、偉いねえとか可愛いねえなんて言って、撫でてくれてたな。

そう思うと、忘れかけていた涙がまた溢れそう。



「もう泣くなよ」

「…っごめ、」

「…あいつ思って、俺の前で泣くな」

「洋ちゃ、」

「…これ、うるさかったから、最後だけ出といた」



渡された携帯、そこに残されていたのは、小田島くんからのたくさんの着信やメッセージ。飛び出して、泣き疲れて眠って、小田島くんに連絡する余裕なんてなかった。



「血相変えて電話出てたけど」

「…え?」

「あいつって、あんな余裕がない奴なんだな」

「小田島くん、が?」

「これから俺に殺されにくるって」



え、と声を出すと同時に。インターホンのチャイムが鳴った。ぱちり、洋ちゃんと目が合うと、彼はなんとも言えない表情で困ったように口角を上げた。

何度も鳴らされるチャイム。それと打って変わって、ふたりの間は静かだった。洋ちゃんの瞳から逃げられなくて。



「…葵」

「な、に…」

「お前、思い詰めて勝手に決めて、ひとりで泣くんじゃねえぞ」

「え…?」

「…お前が思ってるより、あいつはずっとお前のこと、…」



洋ちゃんの言葉が途切れた。ふと笑って。立ち上がって、玄関に歩いて行く。

昔は私が前にいたのに、本当、いつの間にこんなに強くなったのかな。そういえば、そんな当たり前の会話、洋ちゃんとできなかったな。

そんなことをぼんやり考えていると、慌てたような足取りが聞こえた。



「…っ葵……!」

「…お、だじまく、」



肩で息をしている、金髪の彼に、強い力で抱きしめられて。また、涙が溢れてしまった。





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書いては消していて、着地点迷子になっています。笑

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aoi(プロフ) - みさももさん» そうなのですね!!うれしいです*甘ったるい中に、少しどろっとしたものを持っているような、そんな感じで描いていこうと思ってます!更新がんばります* (2019年11月20日 16時) (レス) id: fdd157f3df (このIDを非表示/違反報告)
みさもも(プロフ) - 私の中の小田島くんのイメージにぴったりなんです!あまあまだけどやる時はやる男と言うか、、、だから大好きです!これからも愛読させていただきます! (2019年11月19日 23時) (レス) id: 9abd401940 (このIDを非表示/違反報告)
aoi(プロフ) - みさももさん» こんばんは、コメントありがとうございます*すっごくうれしいです!私の描く小田島くんは、少し優しすぎると言いますか、女々しいかな、なんて思いながら描いていたので、励みになりました。これからよろしくお願いします! (2019年11月18日 21時) (レス) id: fdd157f3df (このIDを非表示/違反報告)
みさもも(プロフ) - 初めてコメントします!私的に小田島くん小説で一番大好きです!更新ファイトです! (2019年11月18日 21時) (レス) id: 9abd401940 (このIDを非表示/違反報告)
aoi(プロフ) - ぱんださん» コメントありがとうございます。鳳仙の絆すばらしいですよね…!更新お待ちいただけるとうれしいです* (2019年11月18日 17時) (レス) id: fdd157f3df (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:aoi | 作成日時:2019年11月12日 22時

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