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よく分からない、という表情をして、金髪くんは私を見つめ返した。生傷に慣れてしまっているんだ、と思った。だから、余計に心配になってしまって。



「あの、腕…」

「え、ああ…これ〜?大したことねえから」

「……だめです、バイ菌が入ったら困ります」

「心配してくれんの?」

「……ほっ、とけないだけです」



ハンカチで止血をすると、そのきれいな顔が少し歪んだ。ほらやっぱり、痛いんじゃない。傷に慣れたって、痛みには慣れないでほしい、そんなことをぼんやり思いながら、ハンカチを彼に渡す。



「これ、返さなくていいですから…」

「……」

「きちんと、消毒してくださいね」

「……」

「あと、…喧嘩、ほどほどに…。痛みに慣れちゃだめです、」

「…おねえさん」

「え、っと、…じゃあ、私はこれで」

「……」



今度こそ、彼の横を抜ける。お気に入りのハンカチだったけど、人の役に立てたのだから、こればかりは仕方ない。そう思い込ませた。彼らの喧嘩が収まることはないのだろうから、せめて、大きな怪我にならないように、そんなことを思っていた。

だからやっぱり、気付けなかったんだ。



「…っおねえさん、!」

「…え……っ」



通り過ぎたはずの彼が、少し慌てたような姿で、目の前にいる。走ってきたのだろうか、今度はひとりだ。灰色の学ランから、ちらりと白い肩が見えた。

河川敷の道が暗くなる。だから、彼がどんな表情をしているかは分からない。

ただ、薄く笑った気がして、顔が見れなかった。



「おねえさん、お名前はぁ?」

「え…?」

「お、な、ま、え」

「え、あ、えっと…立花葵です」

「葵ちゃんねー、俺小田島有剣」

「小田島、くん」

「……ハンカチ、これお気に入りっしょ?」

「え、!どうして、」

「…やっぱり〜?年季入ってるから、そうかなあって」

「…」

「ちゃんと返すから、ね、今度俺とデートしてくんなーい?」



楽しそうに笑う小田島くん。真っ青になる私。どうして彼が、こんなことを言ったのか、私は未だに分からない。

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aoi(プロフ) - みさももさん» そうなのですね!!うれしいです*甘ったるい中に、少しどろっとしたものを持っているような、そんな感じで描いていこうと思ってます!更新がんばります* (2019年11月20日 16時) (レス) id: fdd157f3df (このIDを非表示/違反報告)
みさもも(プロフ) - 私の中の小田島くんのイメージにぴったりなんです!あまあまだけどやる時はやる男と言うか、、、だから大好きです!これからも愛読させていただきます! (2019年11月19日 23時) (レス) id: 9abd401940 (このIDを非表示/違反報告)
aoi(プロフ) - みさももさん» こんばんは、コメントありがとうございます*すっごくうれしいです!私の描く小田島くんは、少し優しすぎると言いますか、女々しいかな、なんて思いながら描いていたので、励みになりました。これからよろしくお願いします! (2019年11月18日 21時) (レス) id: fdd157f3df (このIDを非表示/違反報告)
みさもも(プロフ) - 初めてコメントします!私的に小田島くん小説で一番大好きです!更新ファイトです! (2019年11月18日 21時) (レス) id: 9abd401940 (このIDを非表示/違反報告)
aoi(プロフ) - ぱんださん» コメントありがとうございます。鳳仙の絆すばらしいですよね…!更新お待ちいただけるとうれしいです* (2019年11月18日 17時) (レス) id: fdd157f3df (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:aoi | 作成日時:2019年11月12日 22時

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