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リカとの出会いは、まだ一年の頃だ。今まで出会った女の中で、間違いなく一番優れた容姿をしているのは、リカだと思う。
あの頃の俺は、寄ってくる女を程よく相手にして、やることはやって、面倒になったら切って、なんて最低なことを繰り返していた。そんな感じだから、拗れて頬を引っぱたかれるなんてしょっちゅうで。でもそれにも慣れて、自分が欲求を満たしたいときに満たせれば、俺はそれが楽で良いなんて思っていた。
そんな女の中に、リカはいた。かわいいけど、好きではなかった。好きにはならなかった。そして彼女も、俺のような感覚の女で、お互いの利害が一致していた。
それなのに。
「ねえ…有剣」
「ん〜?」
「私、…有剣のこと、好きになっちゃったかも」
驚いて彼女を見ると、怪しく笑ったその綺麗な顔。それにぞくっとしてしまったのは、今でも覚えている。
「…俺、彼女作る気ねえよ〜?」
「…」
「分かってんだろ?リカだって」
「でも、有剣がすきなの」
「あー、それならいいわ。もう終わり」
「や、やだ!」
面倒だから、と縁を切ろうと思った。リカは嫌だと聞かなかった。やっぱり今のままで良い、と言われて、渋々了承した。
それが全ての始まりだった。
リカはどこにでも現れるようになった。周りからも、小田島の女、と間違った認識をされ始め、しまいには彼女です、なんてリカが言いふらして、あっという間に間違いが広まってしまった。
初めは放っておいたが、彼女の言動がエスカレートしたとき。俺の不満も溜まっていく。
「お前さあ、いい加減にしろよ」
「何が?」
「俺、お前のことなんてなんとも思ってねえよ」
「…なに、それ」
「好きじゃねえってこと。一度も、そんなこと思ってねえってことだよ」
「…っ」
涙が溢れて、綺麗な顔を汚していく。ただ、その涙を見ても、何も思わなかった。嗚咽を漏らして、リカは泣き腫らし、最後に。
「…許さないから」
そう残して、彼女は去っていった。言葉が引っかかったが、終わったと思った。それなのに。
「…は?」
俺と繋がっていた女が、刺されたと聞いた。また、別の女も、刺されはしないが危ない目にあったと聞いて、すぐにリカの顔が浮かぶ。
「…ざけんなよ」
佐「…小田島?」
当時から頭角を表していた佐智雄。信頼していた俺は、全てを話し、リカに会いに行った。
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当時の小田島くんを最低にしてしまってすみません。
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aoi(プロフ) - みさももさん» そうなのですね!!うれしいです*甘ったるい中に、少しどろっとしたものを持っているような、そんな感じで描いていこうと思ってます!更新がんばります* (2019年11月20日 16時) (レス) id: fdd157f3df (このIDを非表示/違反報告)
みさもも(プロフ) - 私の中の小田島くんのイメージにぴったりなんです!あまあまだけどやる時はやる男と言うか、、、だから大好きです!これからも愛読させていただきます! (2019年11月19日 23時) (レス) id: 9abd401940 (このIDを非表示/違反報告)
aoi(プロフ) - みさももさん» こんばんは、コメントありがとうございます*すっごくうれしいです!私の描く小田島くんは、少し優しすぎると言いますか、女々しいかな、なんて思いながら描いていたので、励みになりました。これからよろしくお願いします! (2019年11月18日 21時) (レス) id: fdd157f3df (このIDを非表示/違反報告)
みさもも(プロフ) - 初めてコメントします!私的に小田島くん小説で一番大好きです!更新ファイトです! (2019年11月18日 21時) (レス) id: 9abd401940 (このIDを非表示/違反報告)
aoi(プロフ) - ぱんださん» コメントありがとうございます。鳳仙の絆すばらしいですよね…!更新お待ちいただけるとうれしいです* (2019年11月18日 17時) (レス) id: fdd157f3df (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:aoi | 作成日時:2019年11月12日 22時