〇１７ ページ17
＿
(これちょっとやべえかも…)
葵ちゃんが走っていく姿を横目に見て、ほっとしたのもつかの間。一斉に俺を狙う拳や武器を交わしながら、応戦する。生憎、彼女を追いかけようとする者はいなくて、標的は迷いなく俺なことに安心した。
個々に、大した力はない。ただ、数はまあまあいる。しばらく相手にしていたが、少しずつ小さな傷でできて、ずきずき痛み始めた。
口の端から、血が垂れる。
(あーあ、また怒られちまうなぁ…)
そんなことを思って、隙を見せた矢先。肩に鉄パイプの鈍い音が響く。思わずふらりとして、膝を着いてしまうと、そのままもう一度、振り下ろされた。それを間一髪のところで避ける。
ここでやられたら、葵ちゃんに一生の傷を作ってしまう気がした。
｢はっ、ざまあねえなぁ｣
誰にも聞こえないように吐き捨てた。葵ちゃんの泣き顔なんて見たくないのに、結局巻き込んで泣かせてしまった。それが、ひどい苛立ちに変わる。
ただ、体は満身創痍で、いよいよというときに。轟くような足音と、聞き慣れた奴らの、叫び声がして。
｢…おっせーよ、ばぁか…｣
思わず、見えた人影たちに、文句を言う。
仁｢おいおい、それはないだろう｣
志｢おー、生きてっかー？派手にやられてんなあ｣
佐｢…遅くなったな｣
｢佐智雄、｣
俺を通り抜けていく灰色のスキンヘッドが、奴らに一斉に襲いかかれば。それは一溜りもないだろう。あっという間に戦いは終わった。
鬼邪高校、という言葉を残して。
｢あー、いってぇ…｣
仁｢大丈夫か？｣
｢んー、だめ、痛い、おんぶぅ｣
志｢大丈夫そうだな｣
｢うるせー｣
佐｢鬼邪高、って言ってたな｣
顔を上げれば、佐智雄、仁川、志田が大して心配もしてない顔をして見つめてきた。(沢村は？)もう少し心配しろよ、なんて憎まれ口を言えば、お前があんなのにやられる訳がないだろうと言われ、何も言えなくてなる。
つーか、なんでここにいんだよ、エスパーかよ。
そんなことを思っていると、佐智雄が肩を貸しながら。
｢葵が来てくれたんだよ｣
｢は？｣
｢お前が危ないって。助けてくれって｣
｢…葵ちゃんが？｣
｢ああ。鳳仙来るの、あんなにビビってたのにな｣
｢…｣
｢あいつ、泣いて震えてた。…まだ待ってっから、早く帰ってやれ｣
｢…っ｣
体が勝手に動いていた。早く、会いたくて。
仁｢…おんぶ、とか言ってなかったか？あいつ｣
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 438人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
aoi(プロフ) - みさももさん» そうなのですね!!うれしいです＊甘ったるい中に、少しどろっとしたものを持っているような、そんな感じで描いていこうと思ってます！更新がんばります＊ (2019年11月20日 16時) (
レス) id: fdd157f3df (このIDを非表示/違反報告)
みさもも(プロフ) - 私の中の小田島くんのイメージにぴったりなんです！あまあまだけどやる時はやる男と言うか、、、だから大好きです！これからも愛読させていただきます！ (2019年11月19日 23時) (レス) id: 9abd401940 (このIDを非表示/違反報告)
aoi(プロフ) - みさももさん» こんばんは、コメントありがとうございます＊すっごくうれしいです！私の描く小田島くんは、少し優しすぎると言いますか、女々しいかな、なんて思いながら描いていたので、励みになりました。これからよろしくお願いします！ (2019年11月18日 21時) (レス) id: fdd157f3df (このIDを非表示/違反報告)
みさもも(プロフ) - 初めてコメントします！私的に小田島くん小説で一番大好きです！更新ファイトです！ (2019年11月18日 21時) (レス) id: 9abd401940 (このIDを非表示/違反報告)
aoi(プロフ) - ぱんださん» コメントありがとうございます。鳳仙の絆すばらしいですよね…！更新お待ちいただけるとうれしいです＊ (2019年11月18日 17時) (レス) id: fdd157f3df (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：aoi | 作成日時：2019年11月12日 22時
