気づかない心 前編 ページ3
パチリと目を開けると、
そこに見えたのはいつもの天井。
「A、貴様、
いつまで寝てる。
今日は修行の日じゃないのか。」
「んむぅ…はぁーい…」
何処か、
ふわふわとした意識の中、
私は返事をする。
マダラさんの声がそう聴こえて来て、
私は布団からのそのそと
這い出ようとするが、
途中で力尽きてコテンと再度寝転がる。
「…うぅ…まだ眠い…」
「…。
お前なぁ…はぁ。」
突如、浮遊感を感じた私。
どうやら、マダラさんが
私の体ごと持ち上げた様だ。
俵を背負うかの様に、
彼は私を持ち直すと、
私はクタリと
まるでしなった葉っぱの様に
力を抜いて、だらける。
「自分で歩け。」
そう言いながらも、
私を抱えたまま洗面所に連れて
行ってくれるのだから、
私は彼に思いっきり甘えてしまう。
顔を洗った後、
面倒くさがりやの私は、
櫛でガシガシと髪を乱暴にとく。
「お前…」
その様子を見ていたマダラさんが、
あからさまに顔を歪める。
「何ですか？」
「貴様、それでも、女か？
髪くらいキチンと、とかんか。
ほら、それ貸せ。」
私はマダラさんに櫛を手渡すと
彼の膝上を陣取り、
そこにちょこんと座る。
アカデミー時代から
変わらないこの妙な習慣に慣れっこな彼は
ふてぶてしく座る私を
気にするそぶりも見せず、
優しく髪をときはじめる。
私は上機嫌で鼻歌を歌う。
すると途中でマダラは
何かに気が付いたかのように、
手を止める。
「お前、この首の赤い跡はどうした？」
「首の跡？ですか？
えぇ…？何なんでしょうか…
何処もぶつけては無いですし…うーむ。」
「…。」
記憶を引っ張り出そうと
考え込んだが、無理だった。
私は思い出す事を諦めて、
鏡でその跡を見る。
「ハハハ、でもマダラさん、
何かこれあのマークに見えませんか？」
絶対に何かの修行の最中に、
転んだなりして、勝手に出来た傷だろうが…
形がそれとなく似ていた。
オタク時代の知識といっちゃあなんだが、
恋人がいない歴=年齢の私にとっては、
向こうの世界でも、勿論この世界でも、
そんなものとは一切縁がない。
ただ、少々そう言う物に、
憧れはあった。
いや、私にだって、
夢見る少女時代は存在してたんだ。
「あの、とはなんだ？」
「え、マダラさんだったら
知ってると思ったんだけど…
えぇと…あれですよ、あれ！
恋人同士がつけるやつ！」
これは冗談のつもりで出た軽い言葉だ。
そう、冗談だったんだ。
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おぼろん(プロフ) - 夜更かしさん» ありがとうございます！とてもモチベーション上がります！これからも更新頑張りますね！ (2020年9月30日 16時) (
レス) id: a49c31890f (このIDを非表示/違反報告)
夜更かし - 続編おめでとうございます！！ (2020年9月30日 13時) (レス) id: 103c361fd1 (このIDを非表示/違反報告)
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