契印の原点 後編4 ページ29
この世に縛られ続ける…
どれほど不自由なのだろうか、
そんな事を考えていた私に彼は
とんでもないとばかりに首を横にふった。
「いやいや、
何も悪くは思っておらんのじゃよ？
カイメイ様は
唯一の弟子であるワシが
出迎えてあげねばならんじゃろうし…
あの方は寂しがりじゃが…
それを言葉に出来ぬ程に
口下手だからのぉ。」
「いつまで待てる？」
「それに…答えるとすれば…
ずっと、じゃな。
カイメイ様の意思が続く限り、
ワシは此処に居続ける。」
「わかった。」
私に彼は不思議そうに問いかける。
「つかぬことを聞くが…
何か企んでいるのかい？」
「あいつを成仏させる。
そしたら、貴方にも
ちゃんとしたお礼を返せる。」
そして…彼にしてしまった
数々の非礼を詫びたいのだ。
私の言葉に驚く彼だが
少しして首を横に振る。
「…！！
そう言ってくれるのは嬉しいが…
あの方は昔とは違うのじゃ。
長年続いた憎しみがたった一代で
途切れる事など…」
「できるよ、
だって貴方が言ったんだ。
考え方を変えれば形や在り方さえも
変わるって…」
「A、
ワシはお主にまた二の舞になって
欲しくはないんじゃぞ？
あんまり気負い過ぎる事は、」
まるでお母さんみたいな反応をする彼に
私は言葉を返す。
「無理はしない…
焦りは禁物、それもわかってるよ。」
彼がこの呪いのような契印は、
加護だと、そう言った。
であれば、その言葉を信じてみる。
「それに私は一人じゃないからな。」
私をじっと見ていた彼だったが
とうとうお手上げとばかりに少し目尻を緩めた。
「…これでは
わしが何を言っても聞きそうにないわ。
それがお主の選んだ道であれば
ワシは応援するとしようかの。」
「ありがとう、」
「しかし辛くなった時は、
後ろに一旦下がるのもありじゃ。
だから…逃げたくなったら、
またいつでも此処に戻って来なさい。
A。」
「うん、わかった。」
「…なかなかに
良い顔をしておるわい。
…あの方を思い出すのぉ。」
その言葉を最後にまばたきを
私がした瞬間、
今までそこにあった家、
それに彼すらも跡形もなく消えていた。
まるで最初から
そこにはなかったかのように…
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おぼろん(プロフ) - MAREさん» MAREさん、コメントありがとうございます！遂に…ですね！かなーりマニアックな所まで足を突っ込んでしまわないか心配ですが…こんなに沢山の設定がごちゃ混ぜになっているお話について来てくださり本当に感謝しかないです！これからも期待に沿えるよう頑張ります！ (2021年7月25日 23時) (
レス) id: cc1232a354 (このIDを非表示/違反報告)
MARE(プロフ) - 続編おめでとうございます！遂に大筒木の一族関連の事が出てくるのか、、。楽しみです！応援しております (2021年7月25日 21時) (レス) id: 7446762651 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おぼろん | 作成日時：2021年7月24日 19時
