契印の原点 後編 ページ26
黙ったまま私の言葉を
聞いていた彼は唐突に口を開く。
「そうじゃな、その通りじゃ。
晦冥としての役割の恐ろしさは
晦冥になった者…
いや、あの存在を目視し真実を
知ったものしかわからぬ。」
「じゃあ、軽々しく…言うなよ。」
私の中で渦巻いていた刺々しい声が
そのまま口をついて出て来る。
「晦冥になった私の事を
憐れんだ言葉なら…
なおさら、必要ねぇんだよ。」
烈火の如く燃える感情が
私の目を万華鏡写輪眼へと変えて
老人を真正面から睨む。
心底冷静だなんて…さっきの言葉は嘘だ。
今の私はまだ全然落ち着いてなどいない。
「何かを勘違いしているが
わしが言いたいのはお主が
考えている事とは違う意味じゃよ、晦冥。」
「…何だって言うんだ？」
「では反対に聞くが…
お前さんはその姿になりながら
何故、今も自我を保っていると思うんじゃ？」
「…、」
わからぬか？
と彼はわざとらしく私に問いかける。
そのおちょくるかのような態度に、
そして私自身が答えられない問いかけに、
私は大きく顔を歪める。
「チッ、さっきの仕返しか…お前。」
万華鏡を出して脅すような
真似をしてしまったのは
私が全面的に悪いが…
「ホッホッホ、
そんなに睨むではない、晦冥。」
ゴホンと小さな咳払いをした後に
彼はゆっくりと答えを口に出した。
「簡単じゃ。
まだその時が訪れていないから…
だからこそお主は大筒木カイメイとして
完全体になる前に、」
「止められた、というわけか。」
「おや、もう理解したようじゃな？
良いか？
この世界の生命を奪いに…
大筒木一族が再来した時、
その時こそ、契約満了の時なのじゃ。」
夢で話していた事は
この事だったのか…
「何か」の準備をしろと
カイメイはカグヤに言っていた。
きっとその何かこそが
「大筒木一族の再来」なのだ。
彼らがこの世界の源を奪いに来て、
この世界の人間達が皆滅ぼされる事を
なによりも大筒木カイメイは恐れていた。
「だから、お主は
その力を恐れる事はない…
むしろ、加護として受け入れる…
それが本来の正しい在り方じゃ。
そう、そうじゃった。
本来であれば
神聖な契約だったんじゃ…
闇など一切存在していなかった。」
彼は少し寂しそうな表情は、
何かに思いを馳せるようだった。
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おぼろん(プロフ) - MAREさん» MAREさん、コメントありがとうございます！遂に…ですね！かなーりマニアックな所まで足を突っ込んでしまわないか心配ですが…こんなに沢山の設定がごちゃ混ぜになっているお話について来てくださり本当に感謝しかないです！これからも期待に沿えるよう頑張ります！ (2021年7月25日 23時) (
レス) id: cc1232a354 (このIDを非表示/違反報告)
MARE(プロフ) - 続編おめでとうございます！遂に大筒木の一族関連の事が出てくるのか、、。楽しみです！応援しております (2021年7月25日 21時) (レス) id: 7446762651 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おぼろん | 作成日時：2021年7月24日 19時
