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おじいさん 後編2 ページ20

「…何者だ…お前。」

「おや、
一度会った事があると思うんじゃが…」

「…?

記憶にない。」

「それもそうじゃな…

実を言うと
ワシもあの闘技場に居たんじゃよ。」

闘技場…そう聞いて
私は自分が考えつく一つの可能性を言う。

「…お前、セングか?

まさか…生きてたのか?」

「セング?いやいや、違う。」

彼は朗らかに笑う。

「あの時、
まだ晦冥になってさえいなかった
お前さんはかなり急いだ様子で
ワシの横を走り去って行ったんじゃが…

その様子だと覚えてはおらんようじゃな。

ワシはつい最近の事ように思い出すわい!
ハッハッハッ!!」

「…。」

「いやぁのぉ…
きっといくら考えて、
お前さんの記憶の何処を探しても
ワシは出てきやせんよ。

こちらが一方的に見ただけじゃからの。」

彼の言う通りだ、
自分が思い出せる事ではない。

「…、
そんな人が今更なんの用だ。
この契印でも欲しくなったのか?

欲しいなら別にあげない事もないが、
そんなに良いものでもないぞ。」

「…!」

私の言葉に彼は目を少し見開く。

きっと契印の継ぎ方を
知っているからこその驚きだろう。

私は首を差し出すと言ったも同然なのだから…

「いらぬよ、
契印は今やお前さんのものじゃ。」

「ハハ、だよね。」

「しかし、
そんな事を言うということは
やはりお前さんは疲れているようじゃのぉ…

ますます、心配になってきたわい、」

「…はぁ。」

自分の状況を理解している人間であるならば、
別につきはなす必要もない。

「少し、疲れただけ…
きっとすぐに治るから大丈夫だ。

契印がいらないなら
どっかに行ってくれ。」

「その姿を見てもまだ
そんな事を言うのかい?」

「もう、なんか色々と面倒になったんだ。

今更、こんな些細な事…
気にかけるつもりもない…」

「はぁ、やはり安心できんの…

そのままにしておくと何処かで
ぽっくりいってしまいそうじゃ。

ほれ、ついて来なさい。」

くるりと後ろを向いて歩き出す老人。

「あ、だから…いいって、」

そんな彼に自分はついていく意思が
ないと言おうとすると…

老人は私に振り向いて言った。

「全てが面倒になったのであれば…

このおい先短い
ちっぽけな老人に
少しくらい付き合ってくれても
何ら罰はあたらんじゃろ?」

「、」

言葉尻を取られた私は黙りこむ。

流石に自分が言った事であるが故に
なにも言い返せなかった。

契印の原点 前編→←おじいさん 後編



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おぼろん(プロフ) - MAREさん» MAREさん、コメントありがとうございます!遂に…ですね!かなーりマニアックな所まで足を突っ込んでしまわないか心配ですが…こんなに沢山の設定がごちゃ混ぜになっているお話について来てくださり本当に感謝しかないです!これからも期待に沿えるよう頑張ります! (2021年7月25日 23時) (レス) id: cc1232a354 (このIDを非表示/違反報告)
MARE(プロフ) - 続編おめでとうございます!遂に大筒木の一族関連の事が出てくるのか、、。楽しみです!応援しております (2021年7月25日 21時) (レス) id: 7446762651 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:おぼろん | 作成日時:2021年7月24日 19時

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