影の世界 中編 ページ9
「ハハハハ、最高だな！
兄と弟の殺し合いだとさ！」
「やれー、やっちまえ！！そこだ！」
「おい！兄の方、
手加減するんじゃねぇ！！」
闘技場は大盛況、
収入もいつもの数倍という
脅威的な数字を叩き出していた。
「そういえば、今日は
晦冥様が来られるって聞いたけど…
あの暖簾の裏におられるのかしら？
一体、どんなお方なんでしょう。」
「闇の覇者なんて呼ばれてるんだぞ？
血も涙もない男に決まっているだろう。」
こそこそと話す二人は
商売で成功し大儲けを遂げた
商業一家なのだが、
その後ろから、
ある年配の一人が喋りかける。
「その話はせぬほうが身の為だぞ、
若いお二人さん。」
「…きゃっ、お、驚いたわ…」
彼女は振り返りその男性を見るなり
うわっ、とあからさまに顔を歪める。
その老人、
この場には不釣り合いな
ボロボロの服装をしており、
何故門番に通されたのか不思議な程だったのだ。
そして全く面識のない男性に
彼女は首を傾げる。
「え、えーと、
一体どなたでいらっしゃって？」
「それも…聞かぬほうが良い内容じゃな。
此処では姿形、
名を偽るのが常識じゃろう？
わざわざ教える事は愚かものの所業じゃ。」
まるで見透かすような目をする彼に
気味が悪いと思った女性。
「…え、えぇ…そ、そうね…」
適当に返事を返すと
こそっと自身の夫へ耳打ちする。
「あなた、行きましょう。
なんかこの人、気味が悪いわ。」
「そ、そうだね。い、行こうか！
此処からじゃああまり見えないからな。」
男性は無理矢理な言い訳をすると
彼女をエスコートするように
老人の前から去っていった。
「ほぉ…何とも勿体ない事をする二人じゃ。
今日は、此処が
一番の特等席だと言うのに。
わしの読みが正しければ
此処からはよく見えるはずなのじゃ。」
そう言う老人の横を
一人の少女が足早に通りすぎて行った。
「新しき晦冥様の誕生を。」
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おぼろん(プロフ) - MAREさん» コメントありがとうございます！続編来ました！週末投稿でペースはいつもよりは遅いのですが、これからも続けていきます！ (2021年6月23日 17時) (
レス) id: fd0f1f35b3 (このIDを非表示/違反報告)
MARE(プロフ) - 何時の間にか続編が出ていた、、、、おめでとう御座います！！ (2021年6月23日 16時) (レス) id: 7446762651 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おぼろん | 作成日時：2021年6月19日 15時
