檻からの抜け出し方 後編 ページ5
「A、あの時、
俺を助ける判断をしてくれてありがとう。
でも、俺はどうしても…
他の子達を見捨てて自分だけ助かるなんて…
そんな事は出来ないんだ。」
ハルノ君は自身の震える手を
隠すように抱え込みながら私に言う。
「俺には力はないから…
どうにも出来ないけど。
でも見殺しにして後で後悔するくらいなら、
自分も同じ死に行く道を選ぶよ。」
「そっか。」
まるで正面切って「臆病者」だと
罵られている気さえした。
「…まさか、
檻から出るのあれだけ怖がってた君に
そんな事を言われるとは思わなかった。」
「うん、あの時はそうだった。
でも君に勇気を貰えたんだ。
だから、
今は僕はこの決断が出来る。
ありがとう、A。」
そのお礼の言葉でさえも皮肉に聞こえた。
実際にそうなのかもしれない、
だが私はわざと彼に返す。
「どういたしまして。」
そう私が返すと彼はフッと少し笑った。
「行こう、マルタさん。」
「…？いいんですかい？
んじゃ、あ…A嬢ちゃん、お達者で。」
その声を皮切りに
ハルノ君とマルタは二人、
またあの檻へと戻っていった。
「…、」
彼らの姿が見えなくなって
私は自分の足元へと視線を落とした。
わざわざ死にに行く道を彼は選んだのだ。
彼自身が選んだ道なのだから、
私がどうこう言う権利はないのだし…
はぁああ、と大きく深いため息を吐く。
でも…
「これじゃあ、私は嫌な奴だな。」
マダラ君の手を自ら離しに
行ったあの日を思い出す。
ぐしゃりと頭が潰れ、
そして鎧がひしゃげる感覚…
すると途端に心臓も鼓動が早くなって行く。
「っ、はっ、は…はぁはぁ、くっ、」
私は過呼吸に近い症状に陥るが、
なんとか深呼吸をする事で
気を持ち直した。
「ハハハ…何がいけないんだろ。
普通にそうやって
馬鹿正直な正義を抱えて
死ぬのが怖いだけなのになぁ…」
私の両手は未だ、
震えていた。
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おぼろん(プロフ) - MAREさん» コメントありがとうございます！続編来ました！週末投稿でペースはいつもよりは遅いのですが、これからも続けていきます！ (2021年6月23日 17時) (
レス) id: fd0f1f35b3 (このIDを非表示/違反報告)
MARE(プロフ) - 何時の間にか続編が出ていた、、、、おめでとう御座います！！ (2021年6月23日 16時) (レス) id: 7446762651 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おぼろん | 作成日時：2021年6月19日 15時
