新しい主人 前編 ページ33
使用人視点
主人が出発した直後、
邸内史上の混乱が今起きていた。
「…晦冥様から伝令とは言え、
これは…一体どう言う事なのでしょうか？」
統括者様にそう聞いても
返ってくる言葉は、これが命令です、
との一点貼り。
そのまま「晦冥」様と
長期の出張へと行ってしまわれた。
「いえ、
必ず裏があるはずなのだわ…
今までがそうでしたもの。」
邸内にある使用人専用の自室で
そう一人ごとを言いながら頭を抱える。
そうだ、
自分の代では前任者と現「晦冥」と務めているが…今までの「主人達」を習えば、
全てが悍ましい程の闇を持ち合わせていた。
自分の両親や、
それ以前のご先祖様達も皆、
そんな主人の元、身を粉にして使えていた。
「やっとここまで来たのよ。」
自分には子供がいる。
それも、自身と同じように
呪印を引き継いでしまった子が。
生まれてくる子には申し訳ないとは思いながらも、じゃなければ気が触れてしまいそうなこの世界で、なんとか自分を保つために生んだのだ。
何度、
疲労で倒れそうになったことか…
それでも彼らと言う生きがいを
失わないため自分は必死に生きてきた。
「あぁ。お母様、お父様…」
きっと両親も、
同じような気持ちで自分を産んだのだろう…
自分を何故産んだのだ、
とあれほど呪ったと言うのに、
子を持つ親になり
やっと親心と言うものが理解出来た。
しかしだ、
「それなのに…
これで目でもつけられてしまったら…
私の代で、今までの苦労が水の泡に…」
呪印に縛られて此処で私使用人を
代々務めていた中、
このような奇怪な命令は
一度たりともなかったのだ。
「ど、う言うことなの…」
新しい主人が考えていることがわからない、
それが一番恐怖である。
子供ではある、しかも女児だ。
それなのに彼女は「晦冥」として玉座に選ばれた。
その事実がさらに恐ろしさを引き立てる。
あの無害そうな顔の下に一体どれほどの
闇を秘めているのか…と。
「ご先祖様…
私はどうすれば良いのですか？」
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おぼろん(プロフ) - MAREさん» コメントありがとうございます！続編来ました！週末投稿でペースはいつもよりは遅いのですが、これからも続けていきます！ (2021年6月23日 17時) (
レス) id: fd0f1f35b3 (このIDを非表示/違反報告)
MARE(プロフ) - 何時の間にか続編が出ていた、、、、おめでとう御座います！！ (2021年6月23日 16時) (レス) id: 7446762651 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おぼろん | 作成日時：2021年6月19日 15時
