文明開花 前編2 ページ7
「あーあ…」
そんなくだらない事に自分で自分に
ツッコミを入れて寝っ転がった。
「流石に…四度目は…
ないだろうな。」
そう私が呟いたその時、
パチパチとふと聞こえた
小さなその音に私は幻聴を疑った。
「っ?!」
今までの疲労感は何処へ行ったのかと
思うほどの速さで私は起き上がり、
「まじかよ…」
そして目をひん剥かせた。
「火…だ…いや、これ…火だよな?」
どういう事か、
火がついているのだ。
肝心の私はただ灰の上に手を置いただけで
何もしていないというのに…
「は?え…なんで?どうして?」
私が顔を近づかせたその瞬間、
ゆらりとゆらめいた小さな火種。
「あ…やばいやばい…消えちゃう。」
急いで私はそこら辺にあった、
きっと天井から剥がれ落ちたであろう
木をかき集めてそれをそっと
火の上に被せてやる。
ふぅと酸素を送り込むために
息を気持ち吹きかけてやれば…
途端に元気を取り戻したのか、
その小さな火は燻る煙をあげて、
少しずつ燃やす範囲を広げて大きくなっていった。
「ハハ…ハハハ…」
死にそうになったと思いきや、
希望を見つけ、そしてまた死ぬかと思えば
新たな生きる可能性を天から与えられる。
笑える。
その小さな炎を見て
まるでさっきまでの自分みたいだ…
そんな事を思った。
「神棚…どっかに置くか。」
さっきまでは心の片隅で
クソ神なんて言ったのに、
都合いい頭の私はそんな事を
口走っていたのである。
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作者名:おぼろん | 作成日時:2021年5月4日 16時