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文明開花 前編 ページ6
「…、」
中へと入った所で
私は一人立ち尽くしてしまった。
自分でやってやる…とは格好つけつつも、
何をすればいいのか…それすらもわからない。
「あー…」
あまりにもボロボロの小屋の中に
足を踏み入たのは良いが、
少しの間まるで老人のようにオロオロとする。
まぁ、今はこの寒さを少しでも凌げれば、
それでいいのだが…
そう思いながら目を向けた部屋の
ど真ん中にある今時にはかなり珍しい囲炉裏。
「あ！」
ふと、いの一番に目立つ
それに気がついた私は安堵する。
此処に居れば
雨風の問題は大丈夫そうだし、
後はあれで火を起こせれば…
うん、火を起こせれば…
トボトボと歩いて私は
囲炉裏の側に腰を下ろす。
「いや、普通に知らねぇよ…
火の起こし方なんて…」
一般人が急に火を起こせと言われ、
一体何人が実際に起こせるだろう。
火打ち石や、木の棒、
道具もなにもない状態で、だ。
「…、」
もうやけくそで私は山盛りになっている
灰の上にペッと手をおいてやった。
「んー？
少し…暖かいような…気はする…」
いや、馬鹿か、私は。
この手が冷たすぎるからだろうが…
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作者名：おぼろん | 作成日時：2021年5月4日 16時
