二人の少年 後編 ページ17
私の一言に二人は視線を向ける。
「お前、どのくらい此処に
一人で住んでんだ？」
「さぁ…ここには数ヶ月くらいだけど。」
「じゃあ、食事は…」
柱間のその疑問、最もである。
しかしながら、
その質問は聞かずとも
周りを見渡せばわかる。
「山の資源は冬であろうと…
かなり豊富だからね。」
「それで、その弓矢か…」
「弓か！！かっこいいんぞ！！」
まさか自作のこれを
誉めてくれるとは思わなかった私、
自分の努力の結晶にそんな事を
言ってくれる二人にかなりの好印象を持つ。
「ふふふ、そうでしょそうでしょう！」
こうした些細なきっかけできっと
印象はコロっとかわってしまう。
いや、私が単純なだけかもしれないが…
自分の弓矢を持ち上げ
私は得意げに彼らに言った。
「この頃、
やっと狩りにも慣れてきて…
前なんて飛ぶ鳥、一発で打ち落とせたし？」
「と、飛んでいる鳥ぞ？！」
キラキラとした目をする柱間くん。
「そう！飛んでるやつ！！
狩りには慣れてきたし、
この目の方も獲物を見つけるのが
いくらか簡単になって！
畑は…まぁ、
今の所は色々と模索中な感じかな…」
そして少しは興味を持ってくれているのか
視線をちょこちょこ私に
向けて逸らしを繰り返すマダラくん。
「模索中か？」
「そう、
前なんてイノシシが踏み荒らしてきて、
頑張って育てた野菜も…
全部パーになってた…はァアアア…」
あー、思い出すだけでムカムカしてきた。
私のイノシシという言葉に
ピクリと反応したのは柱間くんだ。
「…あ、そういえば…
つい最近、此処らの北東で
巨大イノシシが出るって聞いたんぞ！」
その言葉に私は目の色を変える。
「マジ？それ…本当？」
「…？本当…ぞ？」
私のあまりの食いつきように彼は
少し戸惑いながらもコクリと頷いた。
「ふふふ、そっか…
あいつらが…やっと。」
吉報だ。
自然と上がる口角、
私は弓矢を強く握りしめ、彼らに聞く。
「二人とも、
北東ってこっち方面だったっけ？」
「あぁ、北東はそっちだけど…
お前、まさか今から、」
マダラくんがいい終える前に私は走り出す。
自分が朝ごはんを食べていないことすらも
忘れて…
「あいつらにやっと
一矢報いることができる。」
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作者名：おぼろん | 作成日時：2021年5月4日 16時
