これは前世の報いなんですか？第五章【夏目友人帳】

蜜を啜れぬ者達　前編2 ページ9

(ヒヤァアア…)
ついそんな声が出そうになる。

何故なら目の前の
あの頑丈そうだった机が
真っ二つに割れたのだ。

これはかなりすごい。

その怒りの発端ともなった
的場はけろりとしながら彼女に言う。

「家族揃ってのその馬鹿力は
どうやらご健在なようですね？」

「うるさい。」

ギロリと私達を見る彼女の瞳。

「貴方達にはこの気持ちが
わかる訳がないじゃない。

見える貴方達には。」

彼女の手から血が出ているのが見えた。

「怪我して…」

私が伸ばした手を嫌悪の表情と
共に振り払う彼女。

「触らないで、御宿家は嫌いよ。

確かに叔父様は禁忌を自ら犯したわ。
だからこそ叔父様だけで
終われば良かったものを…

私達にまで呪いを引き寄せて…」

「…、」

叔父様…？どう言う事だ？

「お陰で見える兄弟達は皆
若いうちに血を吐き散らして
死んでいったのよ？

残ったのは妖力が
一番少なかった女の私、一人。

御宿家は良いわよね？
あいつらだけが繁栄なんて甘い汁を啜って…」

ポタリポタリと地面に落ちる赤い液体が
畳に染み込んでいく。

「何よ？

見えない呪いに喰われていく降嗣家を
面白がっているのかしら？

それならかなり趣味が悪いわね？」

その光景が異様に私の記憶の中に残った。

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