彼が待つ未来へ 前編 ページ31
スッと襖を開けた先には、
横になったまま静かに目を閉じる彼がいる。
「的場…はぁ。
いつになったら起きるの？」
今日も眠っている。
昨日も、一昨日も…一昨々日も。
私は早速いつものように
彼の手に自分の手を重ねる。
「うん、暖かい。」
これが彼が生きている証拠だ。
あの世界では
私が長い事的場を待たせてしまっていたのだから、おあいこと言ってしまえばそれも仕方ない。
でも…寝ている時にこそ
言える事がある。
例えば、いつも言えないこと。
「今なら、良いよね。」
キョロキョロと辺りを見渡して
誰も聞いていない事を確認した私は
ふぅ、と息をついて彼の手を握る。
今度は少し強めに。
「あのさ…的場…
あの時、私を選んでくれてありがとう。
でも、私にとってお前は
自分の命よりも大事だから…」
人はいつか死ぬ。
それは絶対に変わらない…
人であれ、妖であれ、
関係を持ってしまった者は苦しむ事実なのだ。
「的場はもっと
自分のことを大事にして欲しい…」
刻一刻と命という
蝋燭は短くなっていく、
だから…こうして彼と居る時間を
一秒も無駄になどしたくない。
この血の一滴まで彼とは思い合っていたい、
死ぬまで、いや、死んでも…
この愛は消える事はないだろう。
家族とはそう言うものだ。
「私の家族として、一生、側にいる…
愛してるよ、的場。」
返事が返ってこなくてもいい。
「…あ、でも、」
でも私はつい恥ずかしくなって、
少しつまりながら続ける。
「そう言えば…
的場もあの時にも愛してるって
言ってくれたけど、
私の方が何倍も愛してるから。
つまりは私の愛の方がずっとおおき、」
「おや…それは心外ですね？」
「…、
ん？は？…え？」
ぱっちり目を開けて私を見ている。
「はっ？！えっ、何？
お、起きてたの？」
「はい、」
律儀にいつものような笑顔で私に答える彼。
しかし今、私の頭はかなり混乱していた。
「とても心のこもった告白、
ありがとうございます。
ですが…あの時、
私が自分よりも貴方を選んだのは
私自身の愛の大きさを表すん
じゃないでしょうか？」
まさか、こいつ…
狸寝入り決め込みやがってたのかぁ？！！
「そ、その話って
かなり前じゃねぇかっ！
ふ、ふざけんじゃ，くっ…！」
しかもこいつ、
私が最初に手を重ねていた事をいい事に
がっしりホールドしてきやがる。
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おぼろん(プロフ) - あまねさん» あまねさん、ありがとうございます〜(*^▽^*)長らくお待たせしてしまい申し訳ございません…それでも読んでくれる方がいてくれる事に作者、おぼろん感謝感激ですッ！！！ (2021年11月2日 10時) (
レス) id: 05589eb251 (このIDを非表示/違反報告)
あまね(プロフ) - 完結おめでとう〜､､､ございます(無理矢理感半端ない敬語) (2021年11月1日 23時) (レス) @page35 id: 1a6dd63888 (このIDを非表示/違反報告)
おぼろん(プロフ) - あまねさん» あまねさんコメントありがとうございます！内容が濃いだなんて…嬉しいです！ありがとうございます！色々と思考を凝らした甲斐がありました！(*^^*)更新これからも頑張ります！ (2021年8月15日 17時) (レス) id: 3562684528 (このIDを非表示/違反報告)
あまね(プロフ) - 1話1話の内容が読み応え(濃くて)があって、読んでいると時間を忘れる作品でした！更新頑張ってください（ｹﾗｯ (2021年8月14日 0時) (レス) id: 1a6dd63888 (このIDを非表示/違反報告)
おぼろん(プロフ) - えりなさん» えりなさんコメントありがとうございます！最近こっちのお話は全然浮上出来てないので申し訳ないです…もっと更新できるように頑張りますね！ (2021年7月24日 6時) (レス) id: cc1232a354 (このIDを非表示/違反報告)
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