これは前世の報いなんですか？第五章【夏目友人帳】

人と妖 後編 ページ30

「実は…山神様は
わざわざ人に化けるまでして…
夏目殿やA様のご友人達から…
聞いたらしいのです。

A様がかなり落ち込まれていると…」

「…は？」

シュラの突然の告白に
私は破顔する。

「そして山神様は自分なりに
A様を慰めるのはどうすれば良いかと考えており…

御宿様にはいつもあのような言い方で
言っていたのを思い出されて、

そして、」

「ん？
つまりはお母さんには
あんな感じだったって訳？

初々しいな？とか言ってたの？マジ？」

「はい…御宿様と山神様は
相思相愛であられましたので、
どちらかと言うと愛情表現のような感じで
上手く行っていたのですが…

流石に父親と娘の場合ですので、
距離を計りかねているといいますか…」

「…いや、慰め方下手かよ！」

何んであの人、そんなに不器用なん？？

それに人間に化けて、
夏目君達に会ったってマジ？
だからあの時、夏目君
知り合いに挨拶とか言ってたの？

「はぁ…マジでくだらん…」

スーッと怒りが消えていってしまった。

「ご理解いただけましたか？」

そう言いながら覗き込んでくるシズクに
私は溜息と共に返した。

「いや、
わかったのは私の親が相当な
バカっプルだったって事だけだよ。」

お母さんの天然さなら
ありえるところが普通に怖い。

「普通に恥ずかしいわ…」

だけでも何よりも怖いのは
私にもそのバカップルの血が
流れていると言うこと…

それを私はこの時、
考えてすらいなかった。

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