検索窓
今日:8 hit、昨日:4 hit、合計:11,348 hit

此処に来た理由 後編2 ページ27

「れいじ…」

その声と共の
姿を現した一人の女性。

「…っ、母上っ!!」

その存在に気づいたれいじ君は走り出した。

もう赤くはない瞳からは雫が
ぼろぼろとこぼれ落ちている。

「会いたかったです!」

彼女に抱きついた直後、
今まで我慢していたのだろう、
堰を切ったように大きな声をあげて彼は泣きじゃくる。

困ったように眉をハの字にしながら
彼女はそっと彼の頭を撫でていた。

そしてふと私の方へと
視線を向ける。

「貴方は…」

「初めまして…じゃないのかな。」

未来の自分に話しかけるなんて
とても不思議な感覚だ。

彼女自身も同じような感情なのか
クスクスと笑う。

「違うかも知れない…

だって私は貴方であって、
実はそうじゃないから。

未来とは自分で決めるもの…
だから必ずこの未来へと
辿り着く訳じゃない。

でも…

貴方が私を助けてくれたことは
変わらない。」

ありがとう、と満面の笑みを見せる彼女。

「早く帰ってあげないと。

待ってる人がいるんでしょ?

あの人はかなりせっかちだから、
私も貴方もこれから大変かな?」

「…っ、でも…」

「まだ…

まだ手遅れじゃないよ。

それにこういう時こそ…
神頼みって言うでしょ?」

「…!」

「ね?父さん。」

「全く、仕方ない奴よ。」

確認する様にちらりと視線を向けた彼女を
お父さんは、はぁと深く大きなため息をついた。

でも、その顔は慈愛で満ちている。

「さあ、元居た場所へ戻ろう、我が娘よ。」

お父さんから差し出された
手を掴もうとした直前、

「母上っ!」

れいじ君の声が聞こえた。

「僕は待ってますっ!
此処で、未来で!!

だから母上、
それを忘れないでください!」

「うん。」

彼が顔をぐしゃぐしゃにさせている中
私自身も目頭がまた熱くなった。

しかし、ぐっと出そうに
なるものを堪えて私は彼に答えた。

「勿論だよ!
れいじ君っ!!

未来で必ず再開しよう!」

人と妖 前編→←此処に来た理由 後編



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.5/10 (59 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
64人がお気に入り
設定タグ:夏目友人帳 , 的場
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

おぼろん(プロフ) - あまねさん» あまねさん、ありがとうございます〜(*^▽^*)長らくお待たせしてしまい申し訳ございません…それでも読んでくれる方がいてくれる事に作者、おぼろん感謝感激ですッ!!! (2021年11月2日 10時) (レス) id: 05589eb251 (このIDを非表示/違反報告)
あまね(プロフ) - 完結おめでとう〜、、、ございます(無理矢理感半端ない敬語) (2021年11月1日 23時) (レス) @page35 id: 1a6dd63888 (このIDを非表示/違反報告)
おぼろん(プロフ) - あまねさん» あまねさんコメントありがとうございます!内容が濃いだなんて…嬉しいです!ありがとうございます!色々と思考を凝らした甲斐がありました!(*^^*)更新これからも頑張ります! (2021年8月15日 17時) (レス) id: 3562684528 (このIDを非表示/違反報告)
あまね(プロフ) - 1話1話の内容が読み応え(濃くて)があって、読んでいると時間を忘れる作品でした!更新頑張ってください(ケラッ (2021年8月14日 0時) (レス) id: 1a6dd63888 (このIDを非表示/違反報告)
おぼろん(プロフ) - えりなさん» えりなさんコメントありがとうございます!最近こっちのお話は全然浮上出来てないので申し訳ないです…もっと更新できるように頑張りますね! (2021年7月24日 6時) (レス) id: cc1232a354 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:おぼろん | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2021年6月5日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。