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蜜を啜れぬ者達 中編2 ページ11

やっと気づけた。

降嗣傑、彼はただの器として
生贄にされた被害者などではなかった。

わざと自分の体に山神様を降ろしたのだ。

そして御宿家の人間達と結託し、
彼の弱みを脅し要因として

無理矢理、
自分達の繁栄を契約させたのだ…

つまり山神様を呪いへと
変える要因になった原因は
此処にも存在していた。

「自分達の繁栄ばかりに目が眩んで
私のお母さんと山神様を陥れた
この家の人達には、

もう同情なんてもの一切感じない。」

消えてしまえばいい。
御宿家の人達と同じように…

「っ、それは叔父様がした事!
私はまだ右も左も知らない子供だったのよ!

私達は何にも関係なかった!」

まるで私の中にいる彼に訴えるように
そう彼女は声を張り上げる。

「…降嗣さん。」

でも、今の彼に声が聞こえるとは
到底思えない。

今の彼は怨霊だ。

それも人間の汚しい思考によって
捻じ曲げられ強い憎悪を持つ怨念そのもの。

自分の娘である私すらも
御宿であると言う理由から
呪ってしまう彼に、

その理論はまず通じないだろう。

「確かに貴方と貴方の兄弟達は
直接的に呪いには関係ない。

だから…貴方には死んでほしくはないし、
山神様をこれ以上、悪者にはしたくはない。」

「ど、どう言う事よ?」

さっき私が言っていた事とはまるっきり違う
言葉に彼女は頬に汗を
滲ませながらそう聞いてくる。

「そのままの意味です。」

彼を歪めてしまったのは人間だからこそ、
人間の手で正す必要がある、
そう私は思う。

「私は貴方の呪いをそして
私にかかっている呪いを解く。」

そう宣言した。

「そんな馬鹿な事…
どう出来るって言うのよ?!

どんなに有名な陰陽師でも
祓える事が出来ないのよ?

挙句の果てにはその怨霊の
正しい名前すら存在しないなんて、
そんなのどうやって、」

「おや、おかしいですね?

貴方自身先程まで
山神様と言っていたのに…」

的場の言葉に
しまった、とそんな反応をする彼女。

「まさかその事実に
すでにお気づきでしたか?」

少し俯いて黙り込んでいた彼女、
沈黙にとうとう根負けして頷いた。

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おぼろん(プロフ) - あまねさん» あまねさん、ありがとうございます〜(*^▽^*)長らくお待たせしてしまい申し訳ございません…それでも読んでくれる方がいてくれる事に作者、おぼろん感謝感激ですッ!!! (2021年11月2日 10時) (レス) id: 05589eb251 (このIDを非表示/違反報告)
あまね(プロフ) - 完結おめでとう〜、、、ございます(無理矢理感半端ない敬語) (2021年11月1日 23時) (レス) @page35 id: 1a6dd63888 (このIDを非表示/違反報告)
おぼろん(プロフ) - あまねさん» あまねさんコメントありがとうございます!内容が濃いだなんて…嬉しいです!ありがとうございます!色々と思考を凝らした甲斐がありました!(*^^*)更新これからも頑張ります! (2021年8月15日 17時) (レス) id: 3562684528 (このIDを非表示/違反報告)
あまね(プロフ) - 1話1話の内容が読み応え(濃くて)があって、読んでいると時間を忘れる作品でした!更新頑張ってください(ケラッ (2021年8月14日 0時) (レス) id: 1a6dd63888 (このIDを非表示/違反報告)
おぼろん(プロフ) - えりなさん» えりなさんコメントありがとうございます!最近こっちのお話は全然浮上出来てないので申し訳ないです…もっと更新できるように頑張りますね! (2021年7月24日 6時) (レス) id: cc1232a354 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:おぼろん | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2021年6月5日 22時

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